カフェイン,無水カフェイン,安息香酸ナトリウムカフェイン(安ナカ)


キサンチン誘導体に分類される中枢神経興奮薬

キサンチン骨格をもったテオフィリン(気管支拡張薬)と類似した作用を有する.

主な薬理作用:(1) 中枢興奮作用

その他の作用:(2) 強心・利尿作用,(3) 胃酸分泌促進作用,(4) 平滑筋弛緩作用など

ホスホジエステラーゼ阻害によるcyclic AMP 増加が,カフェインの多くの作用に関与する.


OTCとして:カフェインの中枢興奮作用を期待して,解熱鎮痛薬や,総合感冒薬,鎮咳去痰薬,鼻炎用内服薬,乗り物酔い予防薬などに眠気の防止目的で配合されたり,解熱鎮痛薬に解熱鎮痛作用の増強を期待(脳血流の調整,細胞への浸透性を高める,脳血管収縮作用による頭痛の軽減で爽快感亢進)して配合されることが多い.

カフェインの中枢興奮作用により疲労感を一時的に取り除く効果を期待して,滋養強壮剤にも配合されることがある.


平滑筋への作用気管支平滑筋の弛緩作用を示す.この気管支拡張作用は,カフェインでは弱いが,同じキサンチン誘導体のテオフィリンでは強くみられ,医療用医薬品としてテオフィリンは,喘息治療などに応用されている.


副作用:薬理作用に基づく興奮作用として,不眠,振戦,および,胃酸分泌亢進や食欲不振などの胃腸障害,動悸など循環器への作用がみられることがある.

カフェイン含有の他の一般薬や,コーヒーやコーラなどカフェイン含量の多い飲食物との飲み合わせにより,カフェインの中枢興奮作用が過度となって頭痛など副作用を起こす可能性があるので注意を要する.

 ●それぞれ1杯当りのカフェインの含量(入れ方によって異なる)

食品名

カフェイン含有量

コーヒー

80〜120 mg

紅茶

70〜120 mg

せん茶

40〜80 mg

玉露・抹茶

150〜250 mg

チョコレート/100 g

10〜20 mg

コーラ/200 ml

20〜30 mg

 ●カフェイン類の作用の強さの比較

中枢興奮作用
利尿作用
強心作用

カフェイン

+++
+
+

テオフィリン

+++
+++
+++

テオブロミン

+
++
++


参考文献:

・堀 美智子監修,OTC ハンドブック 1999-2000  −基礎から応用まで−

・田中千賀子,加藤隆一編,NEW 薬理学 改訂第3版,南江堂,1996

・第12改正 日本薬局方解説書,廣川書店,1991