風邪をひかれた患者さんへ


風邪とは:

 風邪の原因の大部分は,ウイルス(細菌より小さく普通の顕微鏡では見えない一群の微生物)によるもの. 他の感染症と同様に人から人へと伝染し,ウイルス感染後2日ほどで発病する. 風邪の症状は人によりかなり異なるが,くしゃみ,鼻水,鼻づまり,喉のイガイガした感じ,カラ咳(痰を伴わない咳),筋肉痛,頭痛,だるさ,発熱など,多種多様な症状が見られる.


風邪の予防:

・現在,風邪を予防するワクチンはない(例外としてインフルエンザワクチンが有効なことはある). 

・風邪を予防する一番良い方法は,風邪にかかっている人に近づかないこと.

・他の感染症と同様に,十分な休息とバランスのとれた食事をとっている人は風邪にかかりにくい.

・1日に何回か手を洗うこと,うがいをすることも大切.とくに外出から帰ったとき,食事の前には必ず手を洗う.


治療:

 風邪のウイルスをやっつける薬はない. 抗生物質(ペニシリンなど)は,細菌感染症には有効だが,ウイルス感染症には無効.

 ペニシリンの注射は,余病として細菌感染による肺炎を起こす危険のないかぎり使用しない. たいていの風邪は自然に良くなるが,余病を防ぐためにも以下の点に留意すること.

  1. 自宅で安静,適度の保温に努める. これが一番大切 !
  2. 市販の風邪薬,あるいは医師の処方した薬を決められたように服用する.(薬によって胃を荒らさないために空腹時の服用は避ける.また食事がとれるようなら注射の必要はないし,注射をしたから早く病気がよくなるものでもない).
  3. 鼻づまりがひどいときは,点鼻薬を用いる(3〜4日以上は使用しないようにする)
  4. うがいをする(うがい薬でなくとも普通の水や食塩水でも OK )
  5. トローチ,キャンデー,ドロップなどを舐める(タバコはやめる.もし愛煙家ならこれを機会に禁煙しょう)
  6. 消化の良い食事,水分補給に努める(1日に少なくとも大きめのコップで8杯(ジュース,水,お茶)は飲むようにする)
  7. 病気の時期にもよるが,お酒やお風呂はしばらくの間止めたほうが無難 ?


再受診をする必要がある場合

  1. 高熱(38℃)が48時間以上続く場合
  2. 咳に痰を伴う場合
  3. 耳が痛かったり,耳だれがある場合
  4. 喉の痛みがどんどんひどくなる場合
  5. その他,いつもの風邪とは少し様子が違い,重病感がある場合


風邪は万病のもとと言われますが,むしろ種々の熱が出る病気の初期症状が風邪に似ているため,風邪と間違われることがあります.これらの病気を風邪と間違わないために,病気の初期と経過を追った検査が必要になることがあります.