脳血管障害
NINDS-III による脳血管障害の臨床病型
A.無症候性 |
原因 |
・微小血栓性:脳主幹動脈の粥状硬化により生じた凝血塊断片が微小塞栓として、脳内末梢動脈を一時的に閉塞。 |
症状 |
・運動障害、知覚障害、失語等が現れる。これらの症状は、発症から5分以内(多くは2分以内)に完成し、24時間以内(多くは1時間以内)に完全に消失する。 |
治療法 |
・再発防止及び脳梗塞の予防が治療の目的となる。 |
臨床概念 |
アテローム血栓症 |
心塞栓症 |
ラクナ |
病因 |
大血管の粥状硬化 |
左房・左室・静脈血栓 |
穿通枝の細動脈硬化 |
危険因子 |
高血圧・糖尿病・高脂血症・喫煙 |
心内塞栓源 |
高血圧 |
梗塞部位/大きさ |
皮質/中-大 |
皮質/大 |
皮質下/小 |
血栓の組成 |
血小板主体 |
フィブリン主体 |
血小板? |
抗血栓療法 |
抗血小板療法 |
抗凝固療法 |
抗血小板療法? |
原因 |
脳血栓:アテローム性(粥状)動脈硬化(脳梗塞の約25%を占める) |
症状 |
脳血栓:半数近くに前駆症状〔一過性脳虚血(TIA)症状〕が認められる。 |
診断 |
CT写真で低吸収域(LDA、黒っぽく見える部分)を認める。 |
治療法 |
1.血小板凝集阻害薬(アスピリン、チクロピジン) |
禁忌 |
||
抗浮腫薬 |
急性頭蓋内血腫のある患者(再出血) |
|
血栓溶解薬 |
脳塞栓の患者(再開通で出血性脳梗塞のおそれ) |
|
抗凝固薬 |
出血中の患者(頭蓋内出血の疑い、血管障害による出血傾向など) |
|
抗血小板薬 |
出血性脳梗塞、硬膜外出血、脳内出血、原発性脳室内出血脳塞栓症、脳塞栓を起こしやすい患者(心房細動、心筋梗塞、心臓弁膜疾患、感染性心内膜炎、瞬時完成型の神経症状患者、重篤な意識障害を伴う大梗塞) |
|
重篤な副作用 |
||
抗浮腫薬 |
大量で急性腎不全、代謝性アシドーシス、高K血症、低Na血症、電解質失調乳酸アシドーシス |
|
血栓溶解薬 |
出血性脳梗塞、出血(脳出血、消化管出血、歯肉出血、血尿など)、ショック |
|
抗凝固薬 |
ショック、過敏症、重篤な出血(消化管出血)、t-PA併用で脳出血、血小板減少症、動脈血栓症消化管出血、出血性脳梗塞、脳出血 |
|
抗血小板薬 |
ショック、血小板減少、出血(出血性梗塞、硬膜外血腫、脳内出血、消化管出血、皮下出血)、重篤な肝障害 |
|
血管壁強化薬 |
ショック |
|
血液凝固促進薬 |
ショック、過敏症 |
薬物 |
相互作用を起こす薬剤 |
臨床症状など |
血栓溶解薬、抗凝固薬、抗血小板薬 |
血液凝固阻止作用を有する薬剤、血小板凝集抑制作用を有する薬剤、血栓溶解剤など |
出血傾向の増大〔血液凝固能(出血時間、プロトロンビン時間など)などの血液検査、臨床症状の観察〕 |
血栓溶解薬 |
アプロチニン製剤 |
ウロキナーゼの血栓溶解作用を減弱 |
血液凝固促進薬 |
止血性臓器製剤、ヘモコアグラーゼ |
大量併用により血栓形成傾向のおそれ |
原因 |
・大部分は高血圧に基づく血管変化 |
症状 |
・日中活動時に突然発症することが多い。 |
診断 |
CT写真で高吸収域(HDA、白っぽく見える部分)を認める。 |
治療法 |
・基本は血腫を除去し、健常組織の障害を縮小することである。 |
原因 |
脳動脈瘤の破裂:大脳動脈輪(大脳動脈輪:Willis
動脈輪とも呼ばれる。くも膜下腔において内頸動脈と椎骨動脈により形成される六角形の動脈輪)の前部にみられる5〜10
mmのこぶ状動脈瘤の破裂。 |
症状 |
突発性の激しい頭痛(悪心・嘔吐を伴う)、項部硬直やKernig
徴候などの髄膜刺激症状出血の程度により、種々の意識障害を伴う(大部分、神経脱落症状は伴わない)。 |
診断 |
CT写真で、くも膜下腔及び脳槽に高吸収域(HDA)を認める。 |
治療法 |
外科的治療を必要とするケースが多い。(出血部のクリッピングなど) |
原因 |
原発性と転移性に大別される。(転移性が多い) |
症状 |
全般的な脳機能低下 |
治療法 |
1.良性腫瘍に対しての治療法 |