てんかん

 種々の成因によってもたらされる慢性・反復性の脳疾患で、大脳皮質ニューロンの過剰活動(過剰放電)に由来する発作を主徴とする。
 

原因

@ 特発性局在関連てんかん(小児ローランドてんかん など)、
A 特発性全般てんかん(小児欠神てんかん、若年性ミオクローヌスてんかん など)
B 症候性(二次性)局在関連てんかん、C 症候性潜在性全般てんかん
 外傷、先天性奇形、脳動脈硬化、脳血管障害、脳腫瘍、CO・アルコール中毒、低血糖、熱射病、出産直後のO2不足

症状

1.部分発作(大脳半球の限局した部位の神経の興奮による)
 A. 単純部分発作(意識障害を伴わない)
 B. 複雑部分発作(1〜2分間の意識障害を伴う)
  ※単純部分発作で始まり、その後意識障害が起こるものや発作の起始から意識障害を示すものがある。 C. 部分発作で始まり全般性強直間代発作に発展するもの
2.全般発作(発作の起始部は不明)
 A. 欠神発作(いわゆる小発作)
  けいれんを伴わない数秒間の意識消失、顔面・四肢の異常運動。小児に多い。
  発作中の脳波は両側性対称性同期性3 Hz棘徐波を示す。
 B. ミオクロニー発作
  筋肉の不規則なけいれん(ミオクローヌス)を伴う
 C. 間代発作
 D. 強直発作
 E. 強直間代発作(いわゆる大発作)
  意識消失と共に強直性の筋収縮と間代性のけいれん発作が起こり、入眠。
 F. 脱力発作
3.分類不能てんかん発作

診断

脳波記録や画像診断などにより総合的に行う。
CTやMRIは特発性(真性)てんかん(病巣が存在なし)と症候性てんかんの鑑別に有用。

治療法

・抗てんかん薬による薬物療法が治療の主体となる。
・副作用は血中濃度に依存するので有効域に保ちつつ、連用する。
 ※治療中はアルコール厳禁。睡眠不足、身体疲労によって発作が誘発されるので十分な睡眠をとる。
1.大発作治療薬:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、バルプロ酸Na、ゾニサミド
2.小発作治療薬:エトスクシミド、バルプロ酸Na、トリメタジオン
3.精神運動発作治療薬:カルバマゼピン、フェニトイン、プリミドン、バルプロ酸Na
4.皮質焦点発作治療薬:フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、バルプロ酸Na、ゾニサミド
5.ミオクロニー発作治療薬:クロナゼパム、バルプロ酸ナトリウム、エトスクシミド
6.てんかん重積症治療薬(短時間内に発作がくり返し起こる症状。致死率高い):ジアゼパム、フェニトイン
7.大発作・小発作混合型治療薬:バルプロ酸Na
8.補助薬:アセタゾラミド
※治療薬は発作型を確認したのち最初単独て少量から投与し、副作用の許容される範囲まで次第に増量していき、発作の回数及び症状の軽減を図る。
又、抗てんかん薬は一般に胎盤通過性が高く、胎児に移行すると催奇形性を示すほか、母乳中に移行し乳児に影響を及すことがあるので注意を要する。