研究紹介

主な研究テーマ

新規分子標的薬としてのグリオキサラーゼI阻害剤の開発

多くのがん細胞は、酸素が十分存在する状況下においても解糖系が亢進していることが知られている(Warburg効果)。 その結果、副産物として、反応性が高く、細胞に有害なメチルグリオキサールが生成する。グリオキサラーゼIはメチルグリオキサールを無毒な乳酸に代謝する解毒酵素である。これまでにグリオキサラーゼI阻害活性を有する天然生理活性物質を探索し、ボリビアデイゴErythrina poeppigiana樹皮から、イソフラボンを単離し、erypoegin Kと命名している。erypoegin Kはヒト白血病細胞株HL-60をはじめ、種々の腫瘍細胞に対して極めて強力なアポトーシスまたは非アポトーシス性の細胞死誘導活性を有することが明らかにしている。現在、その詳しい作用機構の解明に取り組んでいる。(金田教授担当)

ニコチンアミドN-メチル転移酵素のパーキンソン病における役割

パーキンソン患者の脳または脳脊髄液中ではニコチンアミドN-メチル転移酵素(NNMT)の活性が上昇していることが知られている。NNMTはNAD合成を阻害し、神経細胞内でのNAD濃度が低下すると考えられ、その結果、神経の細胞活動に影響を及ぼしている可能性がある。当研究室ではNNMTの神経機能に及ぼす影響を研究している。NNMTを遺伝子導入した神経細胞では突起の伸長が阻害され、NADの添加で回復することから、NNMTの発現は神経機能に悪影響を及ぼすものと考えられる。パーキンソン病の発症または進展に及ぼすNNMTの役割を解明するための研究を進めている。(金田教授担当)

ストレス顆粒の形成を介した細胞内ストレス応答反応の解明

細胞のストレス防御反応の破綻が様々な疾患の発症につながることが知られおり、最近、細胞のストレス防御反応の一つとして、細胞に対してストレスを与えると、ストレス顆粒と呼ばれる凝集体が細胞質に形成されることが報告され、ストレス顆粒に関する研究が国内外で精力的に進められている。そこで、当研究室では、網羅的遺伝子発現解析により、ストレス顆粒の形成を制御する分子を同定し、細胞内情報伝達系によるストレス顆粒の制御機構について調べている。さらに、糖尿病・アルツハイマー病・ウイルス感染などの疾患の発症とストレス顆粒形成との関連性についても調べている。(村田准教授担当)

脂肪細胞分化を制御する細胞内情報伝達経路の解明

当研究室では、多機能性タンパク質であるレギュカルチンのトランスジェニックラットにおいて高脂血症が認められたことから、脂肪前駆細胞の成熟脂肪細胞への分化過程にレギュカルチンが関与していることを調べている。さらに、レギュカルチンによる脂肪分化の異常亢進が肥満症の発症や進行に関与することを実証するための研究も進めている。(村田准教授担当)

大気圧プラズマ装置を用いたプラズマ医療の構築

近年、プラズマを用いたバイオ研究において、プラズマ技術の医療への応用が注目されている。当研究室では、大気圧プラズマ装置を用いて、がん細胞を特異的に死滅させることに成功している。そこで、プラズマ照射によるがん細胞死の分子メカニズムを解明し、プラズマ照射を用いたがん治療への応用を試みている。さらに、大気圧プラズマ装置を用いて、皮膚幹細胞を高効率で増殖させることにも成功しており、プラズマを駆使した皮膚の再生医療の基礎研究も進めている。(村田准教授担当)

ページトップへ