インフルエンザウイルスの概略


 インフルエンザウイルスは表面たんぱく質の変異が激しく,ワクチン接種の効果を左右する大きな要因となる.強い感染力を持ち,短期間に広がる.

 インフルエンザウイルスは,RNA, RNA ポリメラーゼ,外殻であるエンベロープなどからなる,直径80〜120 nm の球または管状を呈する RNA ウイルスである.現在では,ヌクレオカプシド蛋白の抗原性などの相違により,A, B, C 型に分類されている.

  A 型(H1亜型:ソ連かぜ,H3亜型:香港かぜ),B型が流行を起こす.


インフルエンザウイルスの模式図とアマンタジンの作用点

  ウイルスの増殖は,宿主細胞への結合,エンドサイトーシスによる細胞内への取り込み,RNA の宿主細胞核への移行,RNA の複製,蛋白の合成,新たなウイルスの形成,細胞からの放出という過程を経て起こる.

 これらの過程の中で,エンベロープ上の M2 蛋白(A 型ウイルスのイオンチャネル)は,RNA の細胞核への移行に,また,赤血球凝集素であるヘマグルチニン(HA)は,ウイルスの細胞への結合に,ノイラミニダーゼ(NA)は,ウイルスの細胞からの放出にそれぞれ関与している.


厚生省に認可を受けている抗インフルエンザ薬

  1. 塩酸アマンタジン
  2. ザナミビル