くすりと情報
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有用なくすりを適正に使用するために:
- 適正に使用されなかったために「害あって,益なし」と判断され,抹殺されていったくすり達
医療に関わる人間ばかりでなく,総ての人が「くすりを良く知る」ことの重要性
--->くすりの長所も短所も知った上で上手に使う.
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病気とくすりのイタチごっこ:
● 薬害が起こる一要因:
- くすりに関する情報の評価の甘さと情報の非公開性.
- くすりは,専門家でないと理解できない,正しく使いこなせないという考え方.
- くすりに関する情報は,専門家だけが知っていれば良いという風潮.
- 副作用を知らせると,不安になってくすりを飲まなくなるのではないかという考え方.
- ネガティブな情報は,小さな声で,ポジティブな情報は,大きな声でという体質.
- 有効性は過大に,安全性は過小に評価するという風潮
● 薬害の例:
- サリドマイド事件(1950年代):サリドマイド(催眠鎮静薬)による「アザラシ肢症児」
- ハンセン病やベーチェット病の数少ない治療薬としての可能性
- 骨髄腫に有効か?(日本骨髄腫患者の会,ブラジルから輸入へ)
- スモン事件(1960年代):Subacute
Myelo-Optico-Neuropathy,亜急性・脊髄・視神経・末梢神経障害の略.キノホルム(整腸剤)による「中枢神経麻痺,末梢神経麻痺,感覚麻痺」
- ソリブジン事件(1990年代):ソリブジン(帯状疱疹治療薬)と抗癌薬(5-FUなど)の併用投与による副作用増強,死亡
- エイズ薬害事件(1990年代):血液凝固因子非加熱製剤による「AIDS
感染」
参考文献:
・望月眞弓 著,くすりと情報は使いよう,丸善,2000
・紺野昌俊,MRSA 感染症のすべて,医薬ジャーナル社,1991