精神分裂病 原因 ・不明(陽性症状では中脳−辺縁系ドパミン作動性神経路の過敏状態が基盤) 症状 急性期(陽性症状)---
抗精神病薬の反応良好 治療法 ・抗精神病薬(ハロペリドール、クロルプロマジンなどのメジャートランキライザー)による薬物療法が必須。 客観的な症状 主観的な症状 1)動作や表情の異常 1)妄想 1.自律神経系への副作用: 一般名 商品名 特徴・その他 I. フェノチアジン系誘導体 II.ブチロフェノン誘導体 III.チオキサンテン誘導体 ハ IV.レセルピン V.インドール誘導体 その他
特徴
@ 内因性精神病:何らかの遺伝素質などを推定した言葉
A
主として青年期に発病:多くは、15歳から30歳までに発病し、特に20歳前後に好発
B
しばしま慢性進行性に経過:段階的に増悪を繰り返すことが多く、予後はあまり良くない
C
末期に特有の残遺状態(欠陥状態)を残す可能性:社会的な存在として不可欠な共感性、
活力、興味関心などを失い、自己の世界に閉じこもり、環境との接触を断った特有の状態
D 出現頻度(発生率)は、0.7%前後
・近親者の死亡、失恋などが誘因の場合も多い。患者の病識が乏しい。
人間の知覚や思考に本来存在しないはずの症状、比較的予後は良好
自我障害 ---
作為体験(自分が自分以外のものに支配されていると感じる)
思考障害 ---
思考の途絶や滅裂、言葉のサラダ(無関係な言葉の羅列)
感情障害 ---
両価性(互いに相反する内容の感情・思考が同時に起こる)
感情の平板化、疎通性の欠如、無関心、自閉
妄想 --- 被害妄想が多い
幻覚 --- 幻聴が多い
慢性期(陰性症状)
人間に本来あるべき機能の欠陥を主とする症状
ex.)感情の平板化、自閉、意欲の低下
〈精神分裂病の亜型分類〉
急性発作時には電気ショック療法を試みるケースもある。
・慢性期の陰性症状に対しては、リスペリドン、オランザピンなどが有効とされる。
・社会復帰療法(リハビリテーション)、カウンセリング
※抗精神病薬を使用している患者に、まれに悪性症候群(38
℃以上の高熱となり昏迷、けいれんなどを発生し、死に至ることも多い)と呼ばれる重篤な副作用が現れることがある。
高熱治療:薬物治療は無効で、物理的に体を冷却する。
痙れん、昏迷治療:ダントロレンナトリウム、ブロモクリプチンを投与する。
・その他、パーキンソン病様症状、遅発性ジスキネジア、ジストニアなどの不随意運動や、アカシジア(静座不能症)などの副作用が現れることがある。
精神分裂病の症状
人間的に接触しようとしたときに、互いにうまく通じ合えない感じがあり、表情は冷たく、硬く、行動も不自然で滑らかでない。
2)自閉性
自分の主観的な世界の殻の中に閉じこもり、周囲との生き生きとした接触を失う。
3)両価性
相反する感情、意思、思考が、まったく同時に矛盾したまま存在する。たとえばある人を愛し「かつ」同時に憎むといったことである。
4)感情の障害
無関心、感情鈍麻(感情が示されてしかるべきときにも、まったく反応が示されない状態)や感情の不安定さを認める。・
5)思考障害
連合弛緩(意味的関連が不明瞭で、話のまとまりが悪いもの)、支離滅裂(まったくまとまりを欠いたもの)などを認める。
6)緊張病症候群
理由もなく無目的に衝動的に勤作が生じたり(緊張病性興奮)、逆に随意的な運動がほとんど消失したりする(緊張病性昏迷)。
ありえない考えで、強固に確信されて、訂正不能で、誰とも共有されないものである。分裂病に特徴的なのは、基礎にある感情状態や心理状態から了解できない一次妄想(@
妄想気分、周囲の様子が何となく変わって、不気味で、不安な感じ、A
妄想知覚、知覚に特別な意味づけがなされるもの、B
妄想着想;原因、動機なしに着想し確信するもの)である。妄想はその主題によって、被害妄想、関係妄想、注察妄想、誇大妄想、血統妄想、恋愛妄想、嫉妬妄想などに分けられる。
2)幻覚
分裂病の幻覚のほとんどは幻聴であるが(人の声が聞こえることが多く、被害的な内容のものが多い)、幻味、体感幻覚などもある。幻聴とともに、客観的に独語や空笑を伴うこともある。幻聴に近いものとして、思考化声(考えが声になる)、思考伝播(考えが人に伝わっていく)、思考吹入(人の考えが頭の中に吹き入れられる)などがある。
3)作為体験、被影響体験
自分で考え行動するという能動性の意識がなくなり、他人にさせられている、他人に影響を受けるといった体験。
抗精神病薬の副作用
低血圧、便秘、麻痺性イレウス、口渇、鼻閉、頻脈、倦怠感、めまい
2.錐体外路症状:
急性ジストニア、アカシジア、パーキンソン症候群、遅発性ジスキネジア
3.その他の中枢神経系への副作用:
傾眠、無欲状態、軽い意識障害、譫妄状態
4.内分泌・代謝系に対する作用:
性欲、ポテンツの低下、月経不順、乳汁分泌、肥満
5.肝臓に対する副作用:
アレルギー性肝障害、慢性肝障害
6.血液に対する副作用:
顆粒球減少症
7.皮膚粘膜に対する副作用:
アレルギー性皮膚症状
8.眼球に対する副作用:
角膜・水晶体の混濁
9.心・血管系に対する副作用:
10.悪性症候群(最も重要な副作用の1つ)
ドパミン受容体遮断によるとされる。死亡率薬4%、早期発見が重要
抗精神病薬
1)プロピル系フェノチアジン
クロルプロマジン
レボメプロマジン
2)ピペラジン系フェノチアジン
ペルフェナジン
フルフェナジン
エナント酸フルフェナジン
デカン酸フルフェナジン
3)ピペリジン系フェノチアジン
チオリダジン
コントミン、ウインタミン
ヒルナミン、レボトミン
ピー・ゼット・シー、トリオミン
フルメジン、アナテンゾール
アナテンゾールデポー
フルデカシン
メレリル
もっとも標準的な抗精神病薬
鎮静、催眠作用強い
賦活作用、錘体外路症状出現しやすい
ペルフェナジンに類似するがより強い
フルフェナジンの長時間作用薬
フルフェナジンの長時間作用薬、1回注射で4週間持続
比較的緩和な作用、大量で心機能への影響に要注意
ハロペリドール
デカン酸ハロペリドール
ブロムペリドール
モペロン
スピペロン
ピモジド
セレネース、リントン
ロマンス、ネオペリドール
インプロメン
ルバトレン
スピロピタン
オーラツプ
抗幻覚妄想作用が強い
ハロペリドールの長時間作用薬、1回注射で4週間持続
ハロペリドールよりやや緩和
ハロペリドールに類似
賦活作用
クロルプロチキセン
トラキラン、クロチキセン
レセルピン
レセルピン、アポプロン
クロルプロマジンに近い作用、副作用が出やすい
オキシペルチン
ホーリット
賦活作用
1)カルピプラミン系薬物
モサプラミン
2)クロチアピン系薬物
3)チエピン系薬物
ゾテピン
4)ベンザミド系薬物
スルピリド
スルトプリド
5)ペンズイソオキサゾール系薬物
リスペリドン
6)オランザピン
クレミン
ロドピン
ドグマチール、アビリツト
バルネチール
リスパダール
ジプレキサ
抗精神病作用と陰性症状改善作用
クロルプロマジンに近い抗精神病作用、抗躁作用
抗精神病作用、抗うつ作用
抗精神病作用、鎮静作用、抗躁作用
抗セロトニン抗ドパミン作用があり
陽性症状・陰性症状に有効
陽性症状・陰性症状に有効
高血糖、糖尿病性昏睡に注意