a b c d
1.正 正 正 正
2.正 正 正 誤
3.正 正 誤 正
4.正 誤 正 正
5.正 誤 誤 正
6.誤 正 正 正
7.誤 正 正 誤
8.誤 正 誤 正
9.誤 誤 正 誤
0.誤 誤 誤 誤
問1.次の医薬品開発に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.新薬開発のための臨床試験を治験と呼び、第 I 相から第 IV
相に分類される。
b.臨床試験は、すべて、被験薬の適応対象となる患者によって行われる。
c.臨床試験も、実験として位置づけられている。
d.臨床試験において、試験薬の投与とは関係がない不都合な出来事については、有害事象として記録する必要がない。
問2.次の用語・英訳・その略語に関する対応のうち、正しい組合せはどれか。
a.治験コーディネーター ---- Clinical Research Associate ---- CRA
b.医薬情報担当者 ----- Medicinal Reporter ------------ MR
c.治験審査委員会 ----- Institutional Review Board ---- IRB
d.説明と同意 --------- Informed Contract ------------ IC
問3.ヘルシンキ宣言に関する次の記述のうち、正しい組合せはどれか。
a.ヒトを対象とする研究において、被験者はその研究の目的、方法、予想される利益と危険性及び不快さについて、十分情報を与えられなければならない。
b.医学の進歩は研究に基づいているが、これらの研究の一部なりとも最終的には、ヒトを対象とした試験によらなければならない。
c.学術的な知識を深め、かつ苦しんでいる人々を助けるためには、研究室での試験から得られた成果を人に応用することは必要欠くべからざるものである。
d.臨床試験の実施に当たり、被験者から自由意志による文書での同意が得られることが必要である。
問4.臨床試験(治験)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.治験審査委員会は、5名以上の医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者で構成しなければならない。
b.治験責任医師等が被験者の同意を得るためにあらかじめ交付する説明文書には、被験者の秘密が保全されることを条件に、監査担当者等が原資料を閲覧できる旨が記載されていなければならない。
c.臨床試験(治験)実施の責任は、基本的に製薬会社にあり、治験実施に関わるすべての責任主体は製薬企業である。
d.治験の途中、患者から治験薬の投与量を減らして欲しいという要望があれば、患者の利益を考え、担当医師は投与量を変更してもよい。
問5.これまでに緊急安全性情報が出された医薬品と問題となった副作用に関する対応のうち、正しい組合せはどれか。
<医薬品>
a.ジクロフェナクナトリウム --------- 劇症肝炎
b.ゲフィチニブ ------- 急性腎不全
c.オランザピン ------- 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡
d.エダラボン ------- 間質性肺炎
問6.医薬品の有害反応に関する次の記述について、正しい組合せはどれか。
a.有害反応とは、「常用量の薬物の投与により、患者に起こるすべての望ましくない効果あるいは有害な効果」と定義される。
b.ある薬物のみを中止して症状や異常検査所見が改善したら、中止した薬物が被疑薬の可能性が高い。
c.被疑薬を用いた皮内テストは、皮膚以外に発現する副作用においてもその薬物に対するアレルギー反応の存在を示し、信頼性が高い。
d.偽膜性大腸炎は、二次的有害反応の症状、菌交代症の1つである。
問7.薬物アレルギーに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a.薬物アレルギーとは、ある特定の薬物あるいはその構造類似物質によって前もって感作(免疫)された個体が免疫機序に基づいて起こす有害反応のことである。
b.症状が同じであれば、その機序や原因薬物は同一と推定できる。
c.アナフィラキシーショックの初期治療にはエピネフリンが用いられる。
d.全身性エリテマトーデス(SLE)患者では、しばしば薬物アレルギーが認められる。
問8.次の用語は、医薬品の副作用として添付文書中に用いられることがある。用語とその意味の対応の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.Stevens-Johnson 症候群 -------
発熱などの全身症状とともに皮膚の表皮が急速に障害され、
紅斑、水泡、びらんを生じる。
b.偽膜性大腸炎 -------
主に抗菌薬の投与により発症する大腸の炎症性疾患。発熱、下
痢、腹痛などの症状を伴い、致死的である。
c.横紋筋融解症 -------
手指がふるえる、よだれがでる、表情が変化する。
d.torsades de pointes -------
心電図上でQT時間が延長。多形性心室頻拍。
問9.次の薬物相互作用の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.ワルファリン服用中に納豆を食べるとワルファリンの抗凝血作用が減弱することがある。
b.長期喫煙者では、テオフィリンの気管支拡張作用は、肺での代謝が障害を受けているため、非喫煙者に比べて持続する傾向がある。
c.テトラサイクリンなどのニューキノロン系抗菌薬を牛乳とともに服用すると、作用の減少が見られる。
d.フェロジピンのようなCa拮抗薬をグレープフルーツジュースとともに服用すると作用の増強が見られる。
問10.薬物相互作用に関する次の記述の正誤のうち、正しい組合せはどれか。
a.プロベネシドを投与すると、尿細管細胞の有機アニオントランスポートにおいて競合阻害が起こるので、セファロスポリンの血中濃度が高くなる。
b.フルオロウラシル系抗腫瘍剤と抗ウイルス剤ソリブジンとの併用により、重篤な血液障害が発現した。
c.シメチジンは、薬物代謝酵素のCYP3A4を阻害するので、同じ酵素で代謝されるシクロスポリンの血中濃度が高くなる。
d.フェノバルビタールの連用により薬物代謝酵素のCYP2D6が誘導され、デキストロメトルファンの作用が弱くなる。
問11.薬物代謝に関する次の記述の正誤のうち正しい組合せはどれか。
a.薬物代謝酵素の遺伝的多型(genetic
polymorphism)によって親化合物の血中濃度時間曲線下面積(AUC)は変化するが,代謝物のAUCは変化しない。
b.Phenotype(表現型)の差異を規定する DNA
塩基配列情報の多様性を、genotype(遺伝子型)という。
c.高齢者の腎機能の評価には血清クレアチニン値が良い指標となる。
d.新生児のUDP-グルクロン酸転移活性は非常に低く、生理的高ビリルビン血症の原因となる。
問12.病態による投与設計に関する記述のうち、正しい組合せはどれか。
a.肝障害時には、酸性薬物に対する主要な結合タンパクであるアルブミン濃度が低下するので、タンパク結合率が高い薬物の効果が増強される可能性がある。
b.肝硬変の患者では、肝機能が低下するので、ペンタゾシン、ニカルジピンなどの初回通過効果を受ける薬物の薬効が弱くなる。
c.腎障害は薬物の腎排泄速度を低下させるが、他の薬物動態パラメータにも大きな影響を与えない。
d.典型的な腎不全状態では、α1-酸性糖タンパク(AAG)はむしろ増加する。
問13.脳血管障害とその治療薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a.一過性脳虚血発作(TIA)とは、脳虚血によると考えられる局所脳神経症状が一過性に出現し、24時間以内に消失されるものである。
b.脳血栓は、動脈硬化が原因で起こることが多く、TIA
は脳血栓の前駆症状として重要である。
c.脳保護薬のエダラボンは、脳血管障害が発症して24時間以内に投薬を開始すべきであり、高齢者では腎機能障害に十分な注意が必要である。
d.再出血を防止する目的で、Ca拮抗薬などを用いる。
問14.L.M.は65歳の右利きの男性画家である。右手が震え、絵を描くのが困難であると訴え、神経クリニックを訪れた。また、椅子から立ち上がるのが困難になってきており、腕や脚に緊張(こわばり)があると訴えている。妻は、L.M.が最近“忘れっぽく”なったと主張、本人も記憶が鮮明ではないことを認めている。既往歴としては、1年前からのうつ病、痛風(現在まで治療されていない)、便秘および良性の前立腺肥大がある。身体所見では、体格の良い男性で、顔の表情は無表情で、静かに一本調子で話す。強い体臭あり。四肢の検査では、両腕にわずかに“歯車様の”強剛がみられ、手に軽い振戦が見られた。歩調はゆっくりで、わずかに姿勢が曲がっている点以外は正常であった。
数ヶ月後、症状が徐々に悪化し、絵筆をもつのが困難になってきたので、さらにL-Dopa
療法で症状が劇的に改善されたが、治療3年後から、副作用によると思われる症状から日常生活に支障を来すようになった。
a.パーキンソン病の4大徴候と言われる振戦、筋固縮、動作緩慢、便秘などが見られている。
b.振戦が見られるので、L.M. に抗コリン薬を処方した。
c.ドロキシドパを L-Dopa と併用投与すると、L-Dopa
の投与量を減らすことができる。
d.ブロモクリプチンなど、ドパミン受容体作動薬を長期に投与すると、wearing-off
現象、on-off 現象、遅発性ジスキネジアなどの副作用が見られる。
問15.老年期痴呆とその治療薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a.アルツハイマー病は、麻痺、運動失調症、感覚障害などの神経症候を示し、痴呆が徐々に進行する神経変性疾患である。
b.病理所見で、タウ蛋白質含有の神経原線維変化やβ-アミロイド蛋白含有の老人班が認められる。
c.塩酸トリヘキシフェニジルは、アルツハイマー病の薬として許可されている。
d.脳血管性痴呆は、段階的・階段状に症状が悪化する。
問16.統合失調症の病態と治療に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.急性期の症状は、グルタミン作動性神経の過剰活動によるものと推定されている。
b.陰性症状には、感情の平板化、自閉、意欲の低下がある。
c.オランザピンは、陰性症状にも有効性を示す。
d.抗精神病薬を長期間服用していて、急激に薬の投与を止めると、悪性症候群が現れることがある。
問17.うつ病とその治療に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.うつ病患者には、やる気を起こさせるような工夫が大切である。
b.塩酸ミルナシプランは、セロトニンとドパミン作動性神経終末で特異的にセロトニンやドパミンの再取り込みを抑制する。
c.三環系抗うつ薬は、緑内障、尿閉、前立腺肥大、高度な慢性の便秘を持っている患者には原則禁忌である。
d.SSRIは、薬物代謝酵素、P450を誘導するので、この酵素で代謝される薬物との相互作用に注意する必要がある。
問18.心身症・神経症とその治療に関する次の記述の正誤について、正しいものの組合せはどれか。
a.心身症は疾患名ではなく病態名であり、病態に応じた症状とそれに付随する全身倦怠感、不眠、食欲不振などが起こる。
b.神経症は、全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、気分変調症、離人症候群、解離・転換障害、神経衰弱などに分類される。
c.フルボキサミンは、パニック障害に有効性が認められている。
d.ベンゾジアゼピン系薬物が良く使用される。
問19.てんかんの病態とその治療に関する次の記述の正誤について、正しいものの組合せはどれか。
a.種々の成因によってもたらされる急性・反復性の大脳皮質ニューロンの過剰活動に由来する発作を主徴とする。
b.欠神発作(小発作)は、けいれんを伴わない数秒間の意識消失を伴う発作であり、小児に多い。
c.抗てんかん薬の投与は、作用機序の異なる複数の薬物を併用するのが原則である。
d.抗てんかん薬は一般に胎盤透過性が高く、胎児に移行するほか、母乳から乳児にも影響をおよぼす。
問20.心不全の病態と薬物療法に関する正誤について、正しい組合せはどれか。
a.主な心不全の兆候として、起坐呼吸、心縮小、頚部静脈の怒張、肺うっ血、肺野聴診時のラ音などが見られる。
b.ほとんどの心疾患の最終像と考えられる。
c.心不全に伴いレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の活性が抑制される。
d.ACE阻害薬には、心保護作用、腎保護作用などがある。
問21.不整脈の病態と薬物療法に関する正誤について、正しい組合せはどれか。
a.洞房結節ばかりでなく、他の心臓の細胞も自動性を持つ。
b.QT間隔は、房室伝導時間の指標となる。
c.アミオダロンは、K+チャネル遮断により脱分極相を抑制し抗不整脈作用を示すが、間質性肺炎や肺線維症などの重篤な副作用が発現することがある。
d.ジソピラミドなど、Ia
群の抗不整脈薬では、抗コリン作用による催不整脈作用が問題となる。
問22.虚血性心疾患とその治療に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.狭心症と心筋梗塞は、冠状動脈硬化やれん縮が原因で起こる心筋虚血を生ずる疾患の総称で、誘因や症状が異なる。
b.労作性狭心症では心電図上ST波が上昇し、異型狭心症ではST
波が下降することが多い。
c.狭心症の痛みは、労作時ばかりでなく就寝中や安静時にも起こる。
d.冠スパスムの予防目的で、アムロジピンなどCa
拮抗薬が用いられる。
問23.心筋梗塞の病態とその治療に用いられる薬物に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.心電図の特徴的なパターンとして、ST下降、異常Q波、冠状T波の順に出現する。
b.心筋梗塞の胸痛発作にはニトログリセリンが用いられる。
c.冠状動脈の血流を再開させることが重要である。
d.リドカインは局所麻酔作用の目的で用いられる。
問24.50歳の男性 D.C.
は、定期検診で高血圧が指摘され、評価のために病院を紹介された。D.C.
は、後頭部がズキズキする朝によく起こる頭痛を主訴としている。高血圧症は6年前に見つけられ、減量と低塩食によりにより治療を行った。D.C.
は2年間薬物療法を行ったが、自分で中止してしまった。過去10〜12ヶ月の間に徐々に7kg
の体重が増えていることが分かっている。主な既往歴として、30年前の虫垂切除と10年前の十二指腸潰瘍がある。D.C.
の父親には高血圧症があり、54歳で心筋梗塞により死亡、母親には糖尿病と高血圧症があり、65歳で脳血管障害により死亡。D.C.
はここ35年間喫煙を続けており、自分の血圧上昇は仕事に関するストレスによるものだと信じている。身体所見は体格の良い太った男性で、外見は年齢相応であり、急性の症状はみられなかった。身長は173
cm、体重108 kg で、血圧は164/98 mmHg である。脈拍は84
拍/分で規則的である。眼底検査では、軽度の動脈狭窄、乳頭は正常で、滲出液や出血は認められていない。臨床検査では、BUN
24 mg/dL、血清クレアニチン 1.7 mg/dL、グルコース 95 mg/dL、K 4.0
mEq/L、尿酸 8.0 mg/dL、ヘマトクリット 42%。総コレステロール 224
mg/dL、HDL 37
mg/dL、尿検査では糖尿を伴わない“+”のタンパク尿が認められた。ECG
と胸部X線は、軽度の左心室肥大を示している。
a.高血圧の治療の目標は、まず薬物治療で血圧を130/85 mmHg
未満にすることである。
b.D.C.は、高血圧の家族歴、喫煙歴をもち、また、肥満なので、将来、動脈硬化、脳血管障害、狭心症、心筋梗塞などのリスクファクターを持っている。
c.50歳、コンプライアンスも悪い患者なので、利尿薬は用いない方が良い。
d.心不全や糖尿病の危険性のある症例では、アンギオテンシン変換酵素阻害薬が選択される。
問25.かぜ症候群の治療に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.かぜ症候群の大半は、ウイルスによって引き起こされる。
b.抗菌薬は、発症48時間以内に投与を開始する。
c.ザナミビルやオセルタミビルは、B型のみのインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼの作用を特異的に阻害し感染拡大を阻止する。
d.インフルエンザ脳炎、脳症患者には、ジクロフェナクは禁忌である。
問26.気管支喘息の病態とその治療に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.気管支喘息の原因は、気道の急性炎症による気道過敏性の亢進と考えられており、炎症細胞の浸潤と気道上皮剥離が特徴的である。
b.喘息の原因には、乳幼児など低年齢層に多く見られるアトピー型(アレルギー性)と壮年期以降に多く見られる非アトピー型(非アレルギー性)がある。
c.気管支喘息の急性気管支痙攣には、β2作動薬が,より強力で速効性の作用を示すので第一選択薬として用いられる。
d.経口副腎皮質ステロイド剤は軽症から重症患者まで広範に用いられる。
問27.E.H. は52歳の男性で、年1回の健康診断のために医師を訪れた。E.H.
は、運動耐容能の低下、特に、ゴルフをしている間の息切れの増加を訴えている。過去の病歴は、ナトリウム制限によってコントロールされている軽度の高血圧(現在の血圧は
146/88 mmHg)を除いて特にない。E.H.
には1年60箱の喫煙歴があり、現在では1日1箱喫煙している。E.H.
の母は65際の時、脳血管障害による発作で死亡。父は慢性閉塞性肺疾患(COPD)
を患い、62歳のときに肺癌で死亡。兄は59歳で COPD
を患っている。身体所見では、咳嗽のあと消失する荒い呼吸音が認められる。胸部X線所見は正常である。スパイロメトリーでは、forced
expiratory volume in 1 second (FEV1) 2.8 L(予測の80%)、forced
vital capacity(FVC) 4.0 L (予測の85%)であった。
a.
COPDによる障害は大部分が非可逆的なので、現状の疾患の状態、予測についての患者教育が重要である。
b.禁煙しても、肺機能の障害は元に戻らないし、肺癌の危険性も減少しない。
c.慢性気管支炎の炎症を抑えるため、まず、ステロイド薬を用いる。
d.この患者において、抗コリン薬は、β2受容体作動薬よりも優れている。
問28.82歳の男性。約1ヶ月前から咳や微熱・倦怠感があり、かぜと思って市販薬を服用していたが、症状が続くため受診したところ、結核と言われて入院した。諸検査の結果、痰の塗抹検査陽性、肺には空洞もあった。どのような治療がなされるべきか、また、その治療において、どのような点に注意すべきか。
a.軽症例なので、標準治療としてイソニアジドとリファンピシンの2剤併用療法を開始した。
b.イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、ストレプトマイシンによる4剤併用療法を開始した。
c.聴力、肝障害、腎障害がないかどうかチェックした。
d.便や尿が赤くなることがあるが、心配ないことを説明した。
問29.消化性潰瘍の病態と治療に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.H. pylori による感染が関与していると考えられている。
b.ピロリ菌の除菌には、アモキシシリン、クラリスロマイシンの抗生物質2剤とラニチジンの3剤併用療法が用いられる。
c.プロトンポンプ阻害薬であるオルノプロスチルを代謝する酵素には、遺伝子多型が存在し、日本人では15〜20%のPM(poor
metabolizer) が存在する。
d.H. pylori
の除菌がうまくいくと、潰瘍の再発ばかりでなく難治化も防止できる。
問30.胃炎、消化性潰瘍の治療薬に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期投与時に見られる消化性潰瘍に対しては、ピロリ菌の除菌療法が効果的である。
b.ドンペリドンは、ドパミン受容体の拮抗作用により、慢性胃炎における悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけなどを改善する。
c.テプレノンや塩酸セトラキサートは、胃粘液増加、胃粘膜血流改善および胃粘膜プロスタグランジン増加作用を有する。
d.クエン酸モサプリドはドパミン受容体を遮断することにより消化管運動を促進し、胃排出促進作用を示す。
問31.27
歳の男性、会社員。仕事上の付き合いで酒を飲む機会も多く、つい深酒になることもある。最近は疲れがたまっているのか「食事や酒もおいしくないな」と思いながら昨夜は友人と飲んでいたところ、気分が悪くなり吐血し救急外来を受診した。患者は胃潰瘍と診断され、H
2
受容体拮抗薬の投与が始まった。喫煙の習慣があり、とくに会議の席や酒席では喫煙の本数が増えるそうである。
a.アルコールの過飲や不規則な食生活、精神的なストレスによってペプシンや胃酸などの分泌が亢進し、自己消化性の潰瘍を引き起こしたと考えられる。
b.喫煙により胃粘膜の血流が増加し、胃粘膜防御機構が障害されたものと思われる。
c.胃潰瘍の場合は空腹時に、十二指腸潰瘍は食後に疼痛が起こることが多い。
d.H2受容体拮抗薬の副作用として、ショック、無顆粒球症、汎血球減少症、Lyell症候群、Stevens-Johnson症候群などがある。
問32.肝炎の病態と治療に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.
B型肝炎ウイルスは、主に食物や飲料水を介して経口的に感染する。
b.インターフェロン製剤はB型およびC型肝炎の特効薬である。
c.C型肝炎ウイルスでは肝炎の慢性化率が高く、また、肝硬変や肝癌に進展する頻度も高い。
d.ラクツロースは腸内細菌によるCO2の産生を抑制するため肝性脳症を改善する。
問33.胆道系疾患と治療に関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a.胆石症は、過剰の脂肪食などによる胆汁成分の異常、胆汁のうっ滞、胆道の炎症により発生することが多い。
b.胆石とは、ビリルビンカルシウムを主成分として、胆道系に生じた固形物の総称である。
c.胆石による疼痛への対策は、軽度の場合は中枢性の鎮痛薬、激しい場合は鎮痙薬を思い用いる。
d.ウルソデスオキシコール酸は、胆汁分泌促進、胆石溶解作用を期待して、胆石症などに用いられる。
問34.膵炎の病態と治療に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a.
急性膵炎では、消化酵素により膵組織が自己消化され、また、アミラーゼ、リパーゼ、エステラーゼなどの酵素値が高くなる。
b.慢性膵炎の原因として、半数以上がアルコールの大量摂取によるものと考えられている。
c.急性膵炎の際は、絶飲絶食、胃液吸引を行い、5-HT2受容体拮抗薬を投与し、疼痛の緩和には、鎮痛坐薬や麻薬を用いる。
d.慢性膵炎非代償期では、膵外分泌機能が低下しているので、膵液分泌を促進させるようなフェニペントールなどを投与する。
問35.M.H. は、55歳、体重70 kg
の男性であり、心窩部痛を訴え外来で診療所を訪れた。さしこみ痛を訴えており、その痛みは2時間ごとに現れ、2週間持続した。受診に訪れたときは、しばらく症状が消えていた時期であった。痛みのため、しばしば夜中に目覚め、冷蔵庫にあるものを食べた。通常、食事をした後は、痛みも静まり眠りについた。M.H.
には、重篤な喘息と不整脈の既往歴がある。薬物療法として、プロカインアミド(1,000
mg)を、6時間ごと、テオフィリン(600
mg)を、1日2回、頭痛がする時は、アスピリンを服用している。M.H.は、薬の服用を忘れることがあるが、思い出した時にいつでも服用している。彼の喫煙歴は、1日10本程度、また、1日10杯のコーヒーを飲んでいる。夜には、夕食前に2杯のマティーニを、夕食後には、シェリー酒を飲んでいる。定期健康診断の結果は、正常範囲内である。
オメプラゾール(20
mg/day)で4週間治療された後、内視鏡検査では潰瘍の治癒が観察された。担当医は、潰瘍の再発予防のために、維持療法を開始することを決めた。しかし2ヶ月後、ラニチジンによる維持療法中に、再発性の腹痛を訴えた。内視鏡により、直径
0.6 cm程度の別の十二指腸潰瘍が観察された。
a.初診時、この患者の訴えた症状から、十二指腸潰瘍である徴候、症状が見られる。
b.再発したのは、嗜好品の取りすぎの為と考えられる。
c.この患者へのオメプラゾールの投与は、8週間までとされている。
d.この患者の頭痛の治療にアスピリンは良くないと考え、アセトアミノフェンを勧めた。
問36.問35の患者の症例で、気がついた点を、マークシート用紙の裏に記入して下さい。(ボーナス点問題です)
問1〜35までの設問の解答は、以下の10個の選択肢の中から選ぶこと。
a b c d
1.正 正 正 正
2.正 正 正 誤
3.正 正 誤 正
4.正 誤 正 正
5.正 誤 誤 正
6.誤 正 正 正
7.誤 正 正 誤
8.誤 正 誤 正
9.誤 誤 正 誤
0.誤 誤 誤 誤
※この問題の解答例は、以下のURL に掲載する予定です。
http://wwwyaku.meijo-u.ac.jp/chem_pharm/mhiramt/EText/
Pharmacol/AppTherap.html
※再試験は、定期試験問題から出しますが、穴埋め式にする予定ですので、内容まで理解して良く勉強をしておいて下さい。