平成14年度 薬理学 II  追・再試験問題


問1.神経細胞とシナプスの性質に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.脱分極興奮が神経終末に達すると、受容体とカップリングしたCa 2+チャネルが開き、Ca 2+イオンが流入すると、神経伝達物質が遊離される。
 b.シナプス前膜と後膜との間の情報伝達は、哺乳動物では一般に電気的に行われている。

問2.神経系の性質と化学伝達に関する記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.抑制性シナプス後電位(IPSP)を生じさせる神経では、Na+イオンの透過性が亢進して脱分極が起こる。
 b.交感神経節前線維の終末からは、アセチルコリンが分泌される。

問3.自律神経系の特徴に関する記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.自律神経は緊張支配を受けているので、その受容体遮断薬により薬の作用が現れる。
 b.副交感神経は、交感神経に比べ1本の節前線維が多くの節後線維を支配している。

問4.自律神経系伝達物質あるいはその前駆物質の取込み機構と、これに対する薬物単回投与による作用に関する記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.塩酸クロニジンは、アドレナリン作動性神経末端細胞膜上のα2受容体に作用し、ノルエピネフリンを遊離させる
 b.へミコリニウムは、コリン作動性神経末端細胞膜に存在するコリン取込み機構を阻害するためアセチルコリンの生合成を阻害する

問5.アドレナリン作動性神経に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.チラミンは交感神経節を刺激してノルエピネフリンを遊離させる。
 b.ノルエピネフリンはチラミンから生合成され、刺激に応じて遊離される。

問6.アドレナリン作動薬に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.アドレナリン作動薬によりα1受容体を刺激すると、血管拡張作用が現れる
 b.β1受容体の刺激薬は、気管支平滑筋を収縮させる

問7.アドレナリン受容体遮断薬に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.α1受容体を遮断すると、前立腺や尿道平滑筋が拡張し、尿道抵抗が減少する。
 b.β2受容体を遮断すると、気管支、血管拡張作用が見られる。

問8.アドレナリン受容体作動薬及び遮断薬に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.ナファゾリンは、β1受容体を遮断することにより皮膚や粘膜の血管を収縮させる。
 b.サルブタモールは、β2受容体を刺激することにより気管支、子宮や血管平滑筋を弛緩させる。

問9.アドレナリン受容体作動薬及び遮断薬に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.ドブタミンは、β1受容体を遮断することにより心不全患者の心機能を改善する。
 b.内因性交感神経興奮作用(ISA)を持つピンドロールは、β受容体刺激薬や内因性カテコールアミンが存在しないような状態では、β受容体を刺激する

問10.コリン作動性神経に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.ムスカリン受容体の M1 タイプは、主に分泌腺、平滑筋に存在する。
 b.アセチルコリンはアセチルコリンエステラーゼにより生合成され、遊離されたアセチルコリンの一部は、副交感神経終末部に再取り込みされる。

問11.コリン作動薬に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.アトロピンを投与後、大量のアセチルコリンを投与すると、血圧が下降する
 b.コリン作動薬の共通の副作用には、視力低下、不整脈、悪心・嘔吐、ぜん息発作、低血圧、尿閉、流涎、発汗などがある。

問12.コリン作動薬に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.ニコチンは、NM受容体に作用して、はじめ四肢筋や呼吸筋を興奮させ、後に麻痺させる。
 b.塩化カルバコールは、真性及び偽性コリンエステラーゼのいずれによっても分解される

問13.コリンエステラーゼに関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.臭化ジスチグミンは、シュレム管を圧迫閉塞させるので、緑内障がある患者には用いられない
 b.塩化エドロホニウムは、可逆的コリンエステラーゼ阻害薬であるが、その作用は弱く効力の持続も短いので、治療よりは重症筋無力症の診断に使用される。

問14.抗コリン薬に関する記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.臭化メペンゾラートは、鎮痙作用があるので、過敏大腸症の治療に使用される。
 b.臭化イプラトロピウムは、気管支ぜん息時にみられる迷走神経反射性の気管支収縮を緩解させる目的で、吸入により使用される。

問15.麻酔したイヌの血圧測定実験に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.塩化アセチルコリンを静脈内注射すると、血圧は一過性に下降する。この現象は、アセチルコリンが血管平滑筋のムスカリンM2受容体を刺激したためである。
 b.塩酸イソプレナリンを静脈内注射すると血圧は一過性に上昇する。この作用は、イソプレナリンが心筋のアドレナリンβ1受容体を刺激したためである。

問16.次の薬物名、主な適応及び副作用のについて、誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
    薬物名           適 応     副作用
 a.塩酸プロカテロール     気管支ぜん息  ショック、アナフィラキシー様症状
 b.塩酸シクロペントラート   緑内障     前立腺肥大患者の排尿困難

問17.眼に対する薬物の作用に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.塩酸ピロカルピンは、毛様体筋を収縮しシュレム管を開口させる。
 b.トロピカミドは、毛様体筋の収縮を抑制し、近視性調節麻痺を起こす。

問18.次の臨床例に関する記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
  意識不明の女性が救急外来に搬入された。下痢、発汗、唾液分泌過剰、筋攣縮が観察され、瞳孔は高度に縮瞳している。農業に従事しており、家人によれば最近、うつ状態で、自殺をほのめかしていたと言う.臨床生化学検査では特徴的な所見が見られた。
 a.症状は、アドレナリン受容体の刺激過剰状態と考えられる。
 b.治療薬の選択はアトロピンやPAM(プラリドキシムヨウ化メチル)である。

問19.自律神経節に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.心臓は交感神経が優位なので、節遮断薬により心拍数が減少する。
 b.カンシル酸トリメタファンは、全身麻酔時に低血圧維持の目的で用いられる。

問20.細胞膜受容体に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.M2受容体を刺激すると、Giタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼ活性が低下しcAMP 産生が抑制する
 b.α1受容体を活性化するとGqタンパクを介してホスホリパーゼCが活性化され、産生されたイノシトール三リン酸が細胞外からのCa2+の流入を抑制する

問21.細胞膜受容体と薬物に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.ヒスタミンH2受容体がアゴニストによって刺激されると、細胞内のイノシトール三リン酸(IP3)量が増加する。
 b.心臓洞房結節の細胞膜にはアドレナリンβ1受容体が存在しており、交感神経により支配されている。

問22.塩化ツボクラリンの作用に関する記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.ストレプトマイシンとの併用により、筋弛緩作用が増強する
 b.コリンエステラーゼ阻害薬との併用により筋弛緩作用が増強する

問23.筋弛緩薬に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.臭化パンクロニウムは、ステロイド骨格を持つ筋弛緩薬である。
 b.テトロドトキシンは、神経終末でのアセチルコリン合成を阻止し、呼吸麻痺を起こさせる。

問24.運動機能障害に適用される薬物の作用に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.γ−運動神経系抑制を示すバクロフェンは、脊髄のGABAA受容体作動薬で、単及び多シナプス反射を抑制する。
 b.メフェネシンは、脊髄の単シナプス反射を抑制して筋弛緩作用を示す。

問25.局所麻酔薬の作用に関する記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.痛覚、温感、触覚の順に感覚が失われる。
 b.炎症部位など、神経周辺のpHが酸性に偏っている組織では麻酔作用が強く現れる

問26.局所麻酔薬に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.ジブカインによる局所麻酔作用を持続させる目的で、塩酸エピネフリンのような血管収縮薬が併用される。
 b.塩酸プロカインは組織浸透性が低いので、浸潤麻酔には不適当である。

問27.血管に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.冠血管は、プロプラノロールにより収縮する
 b.血管平滑筋の細胞膜には、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬で遮断される電位依存性カルシルムチャネルが存在する。

問28.ヒスタミン受容体に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.ヒスタミンによる気管支、腸管などの収縮はH2受容体を介する。
 b.ヒスタミンは、H2受容体を刺激して胃酸分泌を促進する

問29.気道に作用する薬物に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.イプラトロピウムは、ムスカリン受容体を遮断して気道拡張を起こす。
 b.クロモグリク酸ナトリウムは、ヒスタミンH1受容体を遮断して気道を拡張させる

問30.オータコイドに関連する次の対応について、誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.セロトニン        --- 血管、子宮平滑筋収縮作用
 b.プロスタグランジンE1   --- 血管収縮作用

問31.次の内因性物質の生合成反応とその反応に関与する酵素について、誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.アンギオテンシンIからアンギオテンシンII -- アンギオテンシン分解酵素
 b.アラキドン酸からプロスタグランジンG2  --- シクロオキシゲナーゼ

問32.抗アレルギー薬に関する記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.プロピオン酸ベクロメタゾンやプロピオン酸フルチカゾンの鼻腔内噴霧は、アレルギー性鼻炎に有効である。
 b.プランルカスト水和物は、ロイコトリエン受容体を刺激することによって、気管支ぜん息に著効を示す。

問33.薬物―薬理作用―適応の対応について、誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 

薬物

薬理作用

適応

アルプロスタジルアファデクス

PGE1様作用

皮膚潰瘍

塩酸エピナスチン

ケミカルメディエーター遊離抑制

アレルギー性鼻炎



問34.次の薬物 - 薬理作用 - 適応の対応について、誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 

薬物

薬理作用

適応

ロサルタンカリウム

アンギオテンシン II受容体遮断

高血圧症

セラトロダスト

トロンボキサンA2受容体刺激

気管支ぜん息



問35.次の薬物に関する記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.ジルチアゼムは、ジヒドロピリジン系Ca2+チャネル遮断薬であり、作用持続は長い
 b.カンデサルタンシレキセチルは、アンギオテンシンII受容体遮断薬であり、アンギオテンシンによる血管収縮やアルドステロン分泌を抑制する。 

問36.下記の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.プロスタグランジンE2 は発熱や疼痛などの生体防衛反応を亢進する。
 b.エトドラクは、COX-1 に選択性が高く、消化器系への副作用が少ない。

問37.炎症及び抗炎症薬に関する記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.炎症部位で遊離されるインターロイキン-1(IL-1)や腫瘍壊死因子(TNF)は、全身的発熱を引き起こす。
 b.エピリゾールは、シクロオキシゲナーゼの阻害により鎮痛や抗炎症作用を示す。

問38.サイトカインに関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.インターフェロンにはα型、β型及びγ型があり、いずれも抗ウイルス活性を示す。
 b.感染症の発熱には内因性の発熱物質として生体内で産生される腫瘍壊死因子やインターロイキン-1(IL-1)などが関与している。

問39.ステロイド系抗炎症薬に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.糖質コルチコイドは、細胞膜上の受容体と結合して効果を発揮する。
 b.副作用を生じたら、速やかに薬物の投与を中止する

問40.痛風治療薬に関する次の記述について、下線部分に誤りがあれば直し,正しければ“正”と記せ。
 a.プロベネシドが、抗炎症作用により、痛風の発作を特異的に抑制する。
 b.アルプレノロールは、キサンチンオキシダーゼを阻害し、尿酸の生合成を抑制する。

問41.降圧薬を作用機序により分類し、何故、降圧作用が現れるのか説明せよ。

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