脳とこころの発達における神経科学的・心理学的アプローチ |
比較認知科学研究所(名城大学薬学研究科/総合学術研究)
プロジェクトリーダー(H19年度:金田典雄、H20年度〜:鍋島俊隆)
1.研究プロジェクトの概要
現代の複雑な社会環境では多くの人々が様々なストレスによって不安・恐怖・葛藤・失望・怒りなどの心理的問題を抱えている。このようなストレス社会におけるこころの問題の解決や21世紀の超高齢化社会における「脳」と「こころ」の問題には、解決すべき多くの課題が残っている。脳は生物学的な高次中枢であると同時に、こころを紡ぎ出す精神活動の中心でもある。近年の精力的な研究により、脳とこころの機能が徐々に明らかにされつつあるが、解明すべき問題点は未だ多く残されている。
種々の心労や悲哀、抑うつ状態が、感染症やアレルギー性疾患、自己免疫疾患の罹患率、さらには癌の発生率に大きな影響を与えることが臨床的に知られている。ストレスを負荷した動物では、胸腺や脾臓の萎縮、抗体産生能の低下、NK 細胞の活性やマクロファージの食作用の低下など免疫機能の低下が起こる。また、不安神経症やうつ病などのストレス関連疾患では血液中のコルチゾールの上昇が認められることから、視床下部−下垂体−副腎系を介した内分泌機能の亢進がストレス応答に関与していると考えられている。近年、環境化学物質が内分泌系の破綻を引き起こすことから環境化学物質とストレス応答性との関連について研究が盛んに行われている。一方、マウスに拘束浸水または環境隔離ストレスを負荷すると、情動性および学習・記憶など脳の高次機能が障害される。拘束浸水ストレスによる学習記憶障害は抗酸化作用を示す物質を連続的に投与すると改善されることから、このストレスでは酸化ストレスによる神経変性が起っている可能性が示唆されている。学習・記憶機能に重要な働きをしている海馬などの特定領域に神経幹細胞/神経前駆細胞が存在し、成体脳においても神経新生が起こることから、ストレスの負荷による神経新生の変化が脳機能障害に関与している可能性もある。このように、種々のストレス負荷による脳機能障害の発現には免疫系および内分泌系を介した全身的なストレス応答性が密接に関っていることが示唆されるが、詳細については不明である。ストレス応答性の生理学的意義を理解し、ストレス対処法の確立を行うためには、ストレスによる脳機能障害の分子基盤と免疫および内分泌系との相互補完を明らかにする神経科学的研究が必要である。
多くの神経変性疾患が環境要因と遺伝要因の相互作用で発症すると考えられおり、上述した様に環境から脳内に取り込まれ、脳内で毒性を発揮する環境化学物質による神経細胞死だけでなく、遺伝要因にもとづく異常蛋白質の発現を介した神経細胞死および脳機能障害について国内外で精力的に研究が進められている。我々は、これまでに遺伝子改変技術や薬物を使用してヒトと類似した症状を示す様々な精神神経障害モデル動物(学習・記憶障害、統合失調症、薬物依存症など)を開発し、病態発現機序の解明や新薬の開発に多大な貢献をしてきた。また、神経栄養因子の産生を誘導するいくつかの低分子化合物を我々は世界に先駆けて見出し、特定のペプチド性化合物は末梢投与によってアルツハイマー病モデルマウスの脳機能障害を改善すること報告している。一方、ストレス反応としての不安やうつなどの精神障害は、統合失調症や躁うつ病をはじめとする様々な精神疾患において共通して見られる基本的な精神症状である。とりわけ、統合失調症においては不安とうつが患者の主観的生活の質(quality of life, QOL)と強く関わることを我々は報告している。さらに、統合失調症の自殺率は10%におよぶが、その背景に不安とうつが強く関与していることを見出している。しかし、統合失調症の難治例が多いにも拘わらず、その病態は不明であり、有効な治療法・予防法の確立が待望されている。近年、不安やうつなどの精神障害の発現についても、神経変性疾患と同様に遺伝的要因に加えて強いストレスッサーによる環境的要因が負荷された結果、脳内の遺伝子・蛋白質発現を介した神経細胞死や機能低下がその発症機序に関与すると推察されており、その発症モデルとして「ストレス脆弱性モデル」が提唱されている。例えば、統合失調症は一卵性双生児であっても不一致例が存在すること、産褥期、長時間の拘束を伴う人工透析時あるいは自動車運転時には強い精神的ストレスが負荷され、長期間にわたる過度の精神的ストレスの負荷は不安やうつなどの精神障害を引き起こすことが知られている。したがって、神経変性疾患について得られた知見をストレス誘発性の精神障害に応用できる可能性がある。我々は、これまで神経伝達物質や神経発達・変性仮説に基づいた候補遺伝子によるストレス関連疾患との関連解析を精力的にすすめてきた。これに不随する様々な臨床的なストレス因子と疾患との関連性を詳細に検討し、収集した情報を蓄積しつつある。また、ストレス関連疾患の病態生理に関与する分子を解析するために遺伝子解析に加えてプロテオーム解析の導入を考えている。精神障害に関与する分子基盤を解明し、ストレス関連疾患の新規治療戦略を確立するためには、ゲノム医学、プロテオミクス、認知科学の手法を取り入れた精神医学とモデル動物を用いた神経科学とを融合した研究が必要である。
ストレス反応には大きな個人差がみられる。そうした個人差要因の一つとしてパーソナリティがある。生理学的要因も環境要因もパーソナリティ要因を媒介としてストレス反応やストレス対処行動につながると考えられる。パーソナリティの発達には子どもが生まれ持った能力に親子関係、友達関係、受ける教育や文化的背景などの環境要因が影響をおよぼすことは多数の心理学的研究によって報告されている。しかし、質問紙調査や観察調査、各種の発達検査などの指標を用いたものがほとんどで、生理学的指標を導入して、幼児期から老年期までのデータを収集する大規模な調査研究は皆無に近い。青年期および成人期における社会適応、それに伴う心理的健康度の鍵を握るのが、生活構造の構築と組み換えである。その実相に迫るべく質問紙調査研究は多々行われているが、単一の年代層を対象としたものが多く、また横断的研究がほとんどであり、縦断的研究は少ない。質問紙調査研究では捉えきれない生活構造とその組み替えの具体相に迫る生活史的研究はレビンソン(1978)の成人期を対象としたものがあるが、まだこれから開拓すべき領域である。パーソナリティの遺伝・環境の相互作用に関しては、行動遺伝的発達心理学の領域において、双生児研究をもとにした新たな知見が国内外において見出されつつある。ただし、この種の研究を進めている研究グループは非常に少なく、また生涯発達をカバーする大規模な調査研究は皆無に近い。榎本は、各種アイデンティティ尺度の開発を行い、また、面接調査及び質問紙調査を用いて青年期、成人期、老年期の人々のアイデンティティに関する発達的調査を行っているので、本プロジェクトの予備的検討は済んでいる。各年代にまたがり、同一の研究対象者を5年間にわたって追跡調査したものはほとんどみられず、この領域への貢献度は非常に高いものと思われる。超高齢社会を迎え、高齢者のQOLの向上やサクセスフルエイジングの問題はますます重要になってきている。老年期のこころの発達に関する研究は、主に老年心理学、発達心理学の領域で扱われてきた。また、高齢者の心理的不適応の問題やソーシャルサポートに関しては臨床心理学、家族心理学等の分野で行われてきた。だが、各領域を越えて高齢者の心理を検討する包括的研究はほとんどない。また、高齢者の心理学は比較的新しい分野であることから、高齢者関連の横断研究や縦断研究の知見の蓄積もまだ少ないのが現状である。以上の点を踏まえ、パーソナリティを性格特性、自己概念、対人欲求・対人行動、ストレス対処、認知傾向等の生涯発達の様相を解析し、パーソナリティ発達における遺伝と環境の相互作用の様相を心理学的・生理学的(薬学的)観点から解明する。
本研究組織では、神経科学的アプローチを主体とした「脳の発達とストレス」、神経科学的および精神医学的アプローチの融合による「脳・こころの病気」、神経科学的および心理学的アプローチの融合による「こころの発達とストレス」の3テーマに着目し、ストレス社会における脳とこころの問題を総合的に解決する。2.研究内容
研究テーマA 「脳の発達とストレス」
課題A-1)ストレスによる学習・記憶障害とその分子基盤:平松正行
課題A-2)ストレスと免疫応答:打矢惠一
脳と免疫機能のクロストークや相互作用に環境ストレスがおよぼす影響を検討するには、倫理的な問題から、動物実験でなければ成しえない研究と、ヒトを対象として行われるべき研究の双方がダイナミックに統合されて、初めて色々なことが明らかになってくると思われる。これまでの報告で、例えば強いストレスの一つである拘束水浸ストレスを長時間負荷すると、マウスは胃潰瘍引き起し、学習・記憶機能が障害されることが明らかになっている。このような強いストレスを受けると、脳内で酸化ストレスが増加し神経細胞が障害を受けるのと同時に、ストレスに対する防御反応として、視床下部−下垂体−副腎系が活性化され、コルチゾールなどのストレス応答ホルモンが分泌される。このホルモンは、血液にのり脳内に戻ってきて、記憶の座の一つである海馬の神経細胞を障害する可能性が指摘されている。また、昔から“病は気から”というように、ストレスを受けて精神的に弱くなっている時には病気に罹りやすいことから、強いストレスを受けると免疫系の機能が弱くなることが示唆されている。したがって、本研究では、電気ショックストレスと心理的ストレスを負荷することが可能な装置を用い、それぞれのストレスを受けたマウスの学習・記憶機能を行動薬理学的に検討し、その変化と、免疫機能の変化、さらにはホルモン系の変化を同時に検討することにより、これらの系のクロストークを調べる予定である。今回の研究では、まず、動物実験レベルで、種々の強いストレスが負荷された時に、脳の機能がどのような変化をするのか、学習・記憶機能を中心に検討する。さらに、病原体や腫瘍に対する防御能力への影響についても検討を行う。次に、脳の機能変化が生じた時に、ホルモン系や免疫機能がどのような変化を受けるのか、これらがどのようなクロストークによって生体のホメオスタシスを維持しているのか、さらにストレスを緩和するように働く神経系や免疫系の機能変化について明らかにする。
課題A-3)ストレスと脳機能疾患における分子基盤研究:伊藤幹雄・小島良二
アルツハイマー病に代表される種々の神経変性疾患では、β-アミロイド、α-シヌクレイン、パーキン、ポリグルタミン蛋白質、SOD1などの異なる変性タンパク質が凝集・蓄積し、結果的に細胞を死に導くものと考えられてきている。一方、新規分子Osp94 は変性蛋白質の凝集抑制と再生作用を有する分子シャペロン蛋白質(ストレス蛋白質)であることを見出している。そこで、本研究では、変性蛋白質の凝集・蓄積という神経変性疾患に共通した分子メカニズムに着目し、Osp94の分子シャペロン機能を応用し、それによる変性蛋白質の凝集・蓄積により誘起される神経変性細胞死の抑制作用を明らかにすると共に、変性蛋白質による小胞体ストレス誘起における分子シャペロン蛋白質の関与を明らかにする。
課題A-4)脳と環境:環境ストレスのホルモンおよび脳・神経系への影響:小嶋仲夫・植田康次
課題A-5)学習記憶および情動に及ぼす発達期隔離ストレスの影響:山田清文
脳・神経系の発達に影響を与える環境要因とその作用機序を明らかにする。その際、胎児期脳・神経系の形成あるいは老年期疾患に対する環境化学物質の影響について調べる。また、脳とこころの発達における社会や家庭環境の影響を明らかにするために、離乳直後から長期隔離飼育したマウスの学習記憶能や情動性の変化を解析すると共に、海馬における神経新生との関連からその分子基盤を解明する。
研究テーマB 「脳とこころの病気」
課題B-1) ストレス脆弱性における基礎的研究:鍋島俊隆・間宮隆吉
ヒトの少年から青年期、妊娠期および老年期に受けるストレスに対する応答についてマウス(膜アダプター蛋白遺伝子改変動物、妊娠マウスと生まれてきた仔、老化促進マウスなど)を用いて検討する。電気あるいは強制水泳のような身体的ストレスだけでなく、高所あるいは攻撃的マウスに曝すことによる心理(精神)的ストレスを暴露されたときの応答や飼育環境がストレスにどのような影響を与えるかを行動薬理学的および機能形態学的に観察し検討する。また、ストレスへの対処法および治療薬を開発する。
課題B-2)神経変性疾患におけるストレス応答機構の解明:金田典雄・村田富保
パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病などの発症関連遺伝子をクローニングし、発症関連遺伝子の発現のオン/オフを厳密に制御することのできる神経細胞株を樹立する。これら神経変性疾患の発症関連遺伝子の発現が制御された神経細胞株を用いて、発症関連遺伝子の翻訳産物と相互作用する結合蛋白質を同定し、発症関連遺伝子産物の発現による細胞内ストレス経路を調べる。また、この経路を抑制するシグナル伝達経路を同定し、発症関連遺伝子産物によって活性化される細胞内ストレス経路を阻害する神経栄養因子や天然物化合物などの分子を探索する。
課題B-3)神経栄養因子または、神経栄養因子産生促進剤の抗うつ作用および神経保護作用や神経発達への影響の検討:新田淳美
うつ病やアルツハイマー病認知障害モデルを作製し、それら脳での神経栄養因子の含有量変化を検討する。抗うつ作用の検討については神経栄養因子の産生が減少している時期で、神経栄養因子産生促進剤(ペプチド)をマウスに投与し、うつ状態の緩解について行動薬理学的実験を行う。一方、アルツハイマー病認知障害モデルでも脳での神経栄養因含量が減少しているようであれば、同ペプチドの効果を行動薬理・生化学的実験をマウスやラットを用いて調べる。良好な結果が得られた条件において、その作用機序を検討する。
課題B-4)ストレスと精神障害の発症脆弱性に関る分子の探索:野田幸裕
産褥期、人工透析時あるいは自動車運転時におけるうつ・不安症状の臨床解析と精神障害に関与する遺伝子あるいはストレス関連物質の発現変化について検討する。また、実験動物に精神的ストレスを負荷し、うつ・不安様症状を示した動物の遺伝子解析およびストレス関連物質の血中発現量の測定を行う。
課題B-5)ストレス脆弱性遺伝子と薬物反応性に関する研究:岩田仲生・亀井浩行
ストレスの強度とうつ病や統合失調症の発症・予後に関する予備的調査を進め、簡便な臨床評価法とモデル動物での再現が可能な方法を開発する。また、既に収集した薬物反応性サンプルを用いてストレス関連遺伝子群との関連を検討するとともに、全ゲノム関連解析により新規候補遺伝子の解析をすすめる。 新規薬物の標的遺伝子の同定をおこなうと同時に、これらの標的分子に作用する新規薬物のスクリーニングを行い、動物モデルを用いて有効性を検証する。
課題B-6)「不安とうつ」を示す患者の分子病態研究:統合失調症におけるストレス脆弱性の探索を中心に:尾崎紀夫
臨床症状、薬物反応性、神経画像と認知機能といった中間表現型を具備した統合失調症ゲノムサンプルの収集に関し、従来のサンプルに加えてよりサンプル数を拡大する。機能面で神経発達に関与し、全ゲノム解析の結果から統合失調症発症関連遺伝子座位に存在する候補遺伝子を選択し、これまでに得たサンプルによってゲノム解析を行う。また、ゲノム解析によって遺伝統計学的に有意なリスク遺伝子多型候補に関しては細胞生物学的な検討を行う。統合失調症のストレス脆弱性に関与する標的分子をゲノムレベルから解明し、標的分子に対する阻害薬あるいは作動薬を用いて遺伝子改変動物における行動解析等を行う。
課題B-7)統合失調症の脆弱性遺伝子産物の生理機能や作用機構の解明:貝淵弘三
DISC1やDysbindin、Neuregulinなどすでによく知られている統合失調症の脆弱性遺伝子産物の生理機能や作用機構を、分子生物学および細胞生物学的な手法やマウスの発生工学の手法を用いて解析し、ストレスとの関連を明らかにする。また、ゲノム解析によって新たに見出されるストレス脆弱性因子の生理機能や作用機構を解析する。
課題B-8)ストレス関連疾患に関するプロテオーム研究:永井拓
構造化面接(SCID)で診断を確定させ、薬物治療反応性、認知機能を確認した患者(統合失調症、躁うつ病)および正常対照者の末梢血液からリンパ球を分離精製し、エプスタイン・バールウィルスにより不死化させ株化したリンパ芽球様細胞株を調製する。疾患患者および健常人の蛋白質の発現変化を二次元電気泳動によって比較検討する。患者の薬物治療反応性、認知機能などの情報とプロテオーム解析で発現変化が認められた分子との関連性について分析する。また、新規関連分子の同定を試みるとともに創薬標的の可能性について基礎研究を行う。
研究テーマC 「こころの発達とストレス」
高齢社会の進展により老年期の心の発達とウェルビーイングが社会的課題となったのと並んで、不登校・ひきこもり・ニート・いじめに代表される青少年の社会適応上の障害も解決すべき国家的急務となっている。さらには、子育てノイローゼ等による幼児・児童虐待や中高年の自殺の増加など成人期のストレスと心の葛藤も深刻な問題となっている。ここに、ストレスと社会適応の関係を生涯発達という視野の下に置いて探求していく必要性がある。そこで、本研究では、人間のライフサイクルを6つの発達段階(幼児期・児童期・思春期・青年期・成人期・老年期)に分け、各発達段階の人々を対象にパーソナリティ諸変数を測定することにより、パーソナリティの生涯発達プロセスを捉える研究を行う。その際、特性論的視点および物語論的視点を併用し、かつ生理学的指標も併用することとする。
課題C-1) 子どもの性格特性の発達的変化と環境要因:塩崎万里
幼児期、児童期、思春期の子どもの対人関係、性格特性、自己概念、認知能力、親子関係、日常生活の実態、心理的健康度、ストレスに関するデータを縦断的に収集して子どもの発達に及ぼす環境因子の影響を検討する。今日、増加の傾向にあるといわれている不適応、問題行動とこれらの要因との関連についても検討する。
課題C-2) ライフイベントとアイデンティティの発達に関する研究:榎本博明
青年期から成人期のパーソナリティの生涯発達に関する研究を行う。青年期および成人期のパーソナリティ発達を性格特性、自己のアイデンティティ、ストレス認知、ストレス対処、対人行動、ライフイベントの意味づけ、脳波、心電図などの生体反応等を指標として検討する。横断的研究法と縦断的研究を併用することにより、10代後半から60代前半まで幅広い年代のパーソナリティ発達を捉えることとする。
課題C-3) 老年期のこころの発達とサクセスフルエイジング:横井優子
高齢者のアイデンティティの統合の程度や、エリクソン(1959)による幼児期から成人期の発達課題の達成度、ライフイベントの意味づけ、家族との関わり、対人関係、心理的不適応の問題、自己概念、パーソナリティ傾向などについて、質問紙調査、心理テスト、面接調査を用いるとともに生体指標も併用して検討する。
課題C-4) 心身のストレスに対する生体反応に関する研究:林秀敏
幼児から老年期の各年代の人々を対象に得られたストレス反応に関する心理データと生体データの関連を検討する。
課題C-5) 心理尺度データのIRT理論を用いた統計解析に関する研究:野口裕之
幼児期から老年期の各年代の人々を対象として得られた心理尺度データ全体について、発達心理学的アプローチと数量心理学的アプローチを融合させた統計解析を行う。