研究紹介
研究テーマ
① 薬物動態の変動に関する研究
② 脳内薬物代謝に関する研究
③ ドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用を指向した新規ナノ輸送担体の体内動態と安全性研究
研究内容
生体に投与された薬物の効果・副作用の強度および持続時間は、血液によって作用部位に到達した薬物量(濃度)で決まることから薬物の体内での動き(薬物動態)を理解することが必要です。従って、薬物治療において、薬効を最大限に引き出し、かつ副作用を回避し、さらには個別化療法を実施するためにも、薬剤師が習得すべき知識として薬物動態学は極めて重要です。この薬物動態学は薬学部にのみ存在する学問領域であり、当研究室では、薬物動態学的見地から薬物治療の最適化を目指し、下記の研究を進めています。
① 薬物動態の変動に関する研究
薬物動態は、併用薬や病態により変動する場合があります。また、同一の薬物を含む製剤でも添加物が異なることにより、その薬物動態が異なることがあります。そこで、よりよい薬物治療の実施のため、薬物動態の変動要因を解明し、その変動量を、速度論的解析を用いて定量的に明らかにすることで、投与時間や投与量の適正化に関する情報の提供を目指しています。
② 脳内薬物代謝に関する研究
現代社会が抱える深刻な心や脳の問題を解決し生活の質を向上させるためにも、脳で作用する薬物の重要性は日増しに高まっています。薬物代謝は薬効や副作用の発現に影響を及ぼします。そこで、薬物代謝酵素の脳領域特異的な機能を明らかにし、さらに併用薬や病態時における薬物代謝能の変動を解明することで、創薬ならびに薬物治療の最適化を目指しています。
③ DDSへの応用を指向した新規ナノ輸送担体の体内動態と安全性研究
カーボンナノチューブ(CNT)は21世紀の新素材として現在最も脚光を浴びている名城大学発のナノマテリアルです。CNTは薬物を共有結合あるいは非共有結合することができ、また、細胞膜を受動拡散や膜動輸送で通過すると考えられているため、DDSの輸送担体として注目されています。そこで、CNTや化学修飾したCNTの体内動態を解明し、輸送担体としての機能評価を行っています。さらに、CNTが生体に及ぼす影響を明らかにすることで、安全性を確保した上での臨床応用を目指しています。