研究紹介
生物物理化学研究室では、計算と実験両方の研究を行っています。
1.計算部門
主な研究テーマ
・コンピュータを利用した創薬
・タンパク質中のD-アミノ酸の起源と機能
・原始タンパク質の構造および性質の解明
研究内容紹介
コンピュータを利用した創薬、いわゆるin silico創薬について研究を行っている。薬物標的となるタンパク質の立体構造を元に、それにフィットする化合物をコンピュータ上で予測し、医薬候補化合物を見いだしている。また、薬物代謝酵素の遺伝多型についてもコンピュータ内で変異体タンパク質を作成し、その性質を推定している。
(タンパク質中の抗がん剤候補化合物)
一方、生体内のタンパク質において、一部のアミノ酸がD-体になることが知られている。通常タンパク質中のアミノ酸はL-体であるが、一部がD-体になることによってタンパク質の構造が変化し、加齢性疾患の原因になることが知られている。当研究室ではアミノ酸がなぜD-体になるのかを計算によって明らかにし、D-体になることによって起こる構造変化をシミュレーションによって予測している。
(左:すべてL-アミノ酸からなるペプチド、右:1つだけD-アミノ酸に変異したペプチド)
また、約40億年前の生命の誕生期に存在したと考えられる原始タンパク質についても、その構造や性質をシミュレーションによって調べている。最初期のタンパク質は限られたアミノ酸しか含んでいなかったと考えられることが多いが、そのような高分子鎖がタンパク質としての機能を発揮できたのか、計算によって推定している。
(4種類のアミノ酸だけをつないでできたペプチドの立体構造)
2.実験部門
主な研究テーマ
・細胞内輸送タンパク質のpH感受性を応用したバイオセンサー開発
・ヒト20Sプロテアソームの集合メカニズム解明
・ヒト20Sプロテアソームリングを応用したタンパク質の高度集積化
研究内容紹介
構造生物学的視点からタンパク質の研究を進めている。進化の過程でタンパク質が獲得した複雑な構造・多様な機能発現メカニズムを理解し、それを創薬を始めとする様々な領域に応用することを目的としている。