上手なくすりの使い方


くすりも考えて使う時代. 開かれた情報を上手に利用して,賢いくすりの消費者になろう.

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くすりに関する Q & A :

くすりをコップ一杯程度の水で飲むのは何故?

くすりを水やぬるま湯で飲んだほうが良いのは何故?

食べ物とくすりの飲みあわせは?

錠剤をかみ砕いて飲まない,カプセル剤の中身だけを飲まないのは何故?

薬を飲む時間は?

くすりを飲み忘れたら?

副作用は何故起こるの? 避けられないの?

くすりをもらう時には,くすりに関する情報なども一緒にもらおう.


くすりをコップ一杯程度の水で飲むのは何故?

  1. くすりを胃のなかで崩壊し,成分を溶け出させるため.
  2. くすりをきちんと胃の中に流し込むため.
    • 十分な水で流し込まないと,食道などにつかえてそこでくすりが溶け出し,食道潰瘍などを作ってしまうことがある.
    • 同様の理由で,くすりを飲んだらすぐに横にならない.
  3. 界面活性剤を含む下剤を腸内で膨潤させるため.


くすりを水やぬるま湯で飲んだほうが良いのは何故? 

  1. グレープフルーツジュースと一緒に飲むと,くすりの血中濃度が高くなり,作用が強く現れ過ぎるものがある. 
    • グレープフルーツジュースに含まれる成分が,カルシウム拮抗薬(降圧薬)の代謝・分解を阻害してしまう.(例:フェロジピン
  2. 牛乳と一緒に飲むと,効果が弱くなってしまうものがある.
    • 牛乳の中にあるカルシウムが,テトラサイクリン(抗生物質)とキレートを作り,吸収が抑制されてしまう.
  3. アルコールと一緒に飲むと,作用が強く現れすぎるものがある.
         (お酒とくすりの飲みあわせ
    • お酒による神経抑制作用と,睡眠薬,精神安定薬,抗うつ薬などの神経抑制作用が相加・相乗効果をうみ,効果が強く出すぎてしまう.(副作用まで強く出てくる可能性)
    • アルコールを分解する酵素(アルコール脱水素酵素)を阻害する働きを持つ薬と一緒に飲むと,悪酔いや,二日酔の症状が出たり,急性アルコール中毒になる.


食べ物とくすりの飲みあわせは?

  1. 納豆,クロレラ: ビタミンKを豊富に含む食品
    • ワルファリンは,ビタミンKの作用を阻害し,血液を固まりにくくしているので,納豆などにより,血栓防止作用など,くすりの効力が弱くなってしまう.
  2. チーズ:チラミンという物質を多く含む食品
    • チラミンには,交感神経興奮作用があるが,イソニアジド(抗結核薬)などにより,モノアミン酸化酵素を阻害すると,チラミンの代謝が遅れ,動悸,頭痛,血圧上昇,吐き気など,交感神経が興奮されたような症状が出ることがある.


錠剤をかみ砕いて飲まない,カプセル剤の中身だけを飲まないのは何故?

  1. 剤形に工夫がしてある場合があるので,用法どおりに服用する.
    • 胃を荒らす成分が入っている場合,胃での溶解を抑え,腸で溶解させる.
    • くすりが胃酸により分解を受けやすい場合,胃での溶解を抑え,腸で溶解させる.
    • くすりの作用を持続させる
    • くすりが溶けだす時間をコントロールしてある場合など


くすりを飲み忘れたら?

  1. くすりを1日に1回〜4回服用することによって,効果が現れるようになっているので,用法どおりに飲まないと,効果が現れないことや,時間をあけずに飲むことによって,副作用が現れてしまうことがある.
  2. もしも飲み忘れたら?  ---> 一定のルールはないが...
    • 2回分をまとめて飲むような事は,絶対にしないこと.
    • 1日3回飲むくすりの飲み忘れ: 気づくのが2〜3時間後だったら,その時点で忘れた分を飲む.次のくすりを飲む時間までにあと2〜3時間しかなかったら,1回分飲むのを休み,次回から普通通りに飲む.
    • 1日2回飲むくすりの飲み忘れ:次のくすりを飲む時間までにあと5時間以内だったら,飲むのを止め,次回から普通通りに飲む.それ以上だったら,その時点で,飲み忘れた分を飲む.


副作用は何故起こるの? 避けられないの?

くすりは,両刃の剣,リスクを持つ化学物質!: 主作用と副作用の両方を持つ.


くすりをもらう時には,くすりに関する情報なども一緒にもらう.

  1. くすりは,本来,生体にとって毒になる要素を持っている
    • 多すぎても,少なすぎても問題は起こる.
    • 副作用や飲みあわせ(相互作用)の問題をできる限り避けて,くすりの効果を十分に引きだす.
  2. くすりを出す医療従事者の責任 --- 病気,くすりに関する適切な情報を患者に公開する.
  3. 患者自身の責任 --- 適切なくすりの情報を持ち,それを活用する能力を身に付ける.
    • 医者,薬剤師任せにしないことが,医療ミスを最小限に留める上にも重要
    • くすりばかりでなく,くすりに関する情報を買うという気持ちが必要
  4. 患者自身が知っているべきくすりの情報
    1. くすりの名前(商品名または一般名)
    2. 効果(何故,このくすりを飲むのか? このくすりは,どんな症状に効くのか?)
    3. 服用上の注意(服用する時間,量)
    4. 主な副作用(副作用の現れ方は,患者により異なる.一般的に医療従事者は,副作用の出る確率でくすりの話をすることが多いので,出現率の低い副作用などは,患者自身が気をつけている必要がある)
    5. 食物や他のくすりとの飲みあわせ(相互作用)