上手なくすりの使い方
くすりも考えて使う時代. 開かれた情報を上手に利用して,賢いくすりの消費者になろう.
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くすりに関する Q & A
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● くすりをコップ一杯程度の水で飲むのは何故?
● くすりを水やぬるま湯で飲んだほうが良いのは何故?
● 食べ物とくすりの飲みあわせは?
● 錠剤をかみ砕いて飲まない,カプセル剤の中身だけを飲まないのは何故?
● 薬を飲む時間は?
● くすりを飲み忘れたら?
● 副作用は何故起こるの? 避けられないの?
● くすりをもらう時には,くすりに関する情報なども一緒にもらおう.
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くすりをコップ一杯程度の水で飲むのは何故?
- くすりを胃のなかで崩壊し,成分を溶け出させるため.
- くすりをきちんと胃の中に流し込むため.
- 十分な水で流し込まないと,食道などにつかえてそこでくすりが溶け出し,食道潰瘍などを作ってしまうことがある.
- 同様の理由で,くすりを飲んだらすぐに横にならない.
- 界面活性剤を含む下剤を腸内で膨潤させるため.
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くすりを水やぬるま湯で飲んだほうが良いのは何故?
- グレープフルーツジュースと一緒に飲むと,くすりの血中濃度が高くなり,作用が強く現れ過ぎるものがある.
- グレープフルーツジュースに含まれる成分が,カルシウム拮抗薬(降圧薬)の代謝・分解を阻害してしまう.(例:フェロジピン)
- 牛乳と一緒に飲むと,効果が弱くなってしまうものがある.
- 牛乳の中にあるカルシウムが,テトラサイクリン(抗生物質)とキレートを作り,吸収が抑制されてしまう.
- アルコールと一緒に飲むと,作用が強く現れすぎるものがある.
(お酒とくすりの飲みあわせ)
- お酒による神経抑制作用と,睡眠薬,精神安定薬,抗うつ薬などの神経抑制作用が相加・相乗効果をうみ,効果が強く出すぎてしまう.(副作用まで強く出てくる可能性)
- アルコールを分解する酵素(アルコール脱水素酵素)を阻害する働きを持つ薬と一緒に飲むと,悪酔いや,二日酔の症状が出たり,急性アルコール中毒になる.
● 食べ物とくすりの飲みあわせは?
- 納豆,クロレラ:
ビタミンKを豊富に含む食品
- ワルファリンは,ビタミンKの作用を阻害し,血液を固まりにくくしているので,納豆などにより,血栓防止作用など,くすりの効力が弱くなってしまう.
- チーズ:チラミンという物質を多く含む食品
- チラミンには,交感神経興奮作用があるが,イソニアジド(抗結核薬)などにより,モノアミン酸化酵素を阻害すると,チラミンの代謝が遅れ,動悸,頭痛,血圧上昇,吐き気など,交感神経が興奮されたような症状が出ることがある.
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錠剤をかみ砕いて飲まない,カプセル剤の中身だけを飲まないのは何故?
- 剤形に工夫がしてある場合があるので,用法どおりに服用する.
- 胃を荒らす成分が入っている場合,胃での溶解を抑え,腸で溶解させる.
- くすりが胃酸により分解を受けやすい場合,胃での溶解を抑え,腸で溶解させる.
- くすりの作用を持続させる
- くすりが溶けだす時間をコントロールしてある場合など
● くすりを飲み忘れたら?
- くすりを1日に1回〜4回服用することによって,効果が現れるようになっているので,用法どおりに飲まないと,効果が現れないことや,時間をあけずに飲むことによって,副作用が現れてしまうことがある.
- もしも飲み忘れたら? ---> 一定のルールはないが...
- 2回分をまとめて飲むような事は,絶対にしないこと.
- 1日3回飲むくすりの飲み忘れ: 気づくのが2〜3時間後だったら,その時点で忘れた分を飲む.次のくすりを飲む時間までにあと2〜3時間しかなかったら,1回分飲むのを休み,次回から普通通りに飲む.
- 1日2回飲むくすりの飲み忘れ:次のくすりを飲む時間までにあと5時間以内だったら,飲むのを止め,次回から普通通りに飲む.それ以上だったら,その時点で,飲み忘れた分を飲む.
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副作用は何故起こるの? 避けられないの?
くすりは,両刃の剣,リスクを持つ化学物質!: 主作用と副作用の両方を持つ.
- 副作用もくすりが持つ作用の一部だが,使う側が目的としていない作用が生体に現れた場合に副作用を呼ぶ.
- くすりの作用が強く現れ過ぎた場合
- くすりが目的とする部位とは異なるところに作用した場合
- 細胞毒として働いてしまった場合
- アレルギー反応を起こした場合
- くすりの効果と副作用の個人差
- くすりを分解する肝臓の代謝酵素に個人差がある(CYP 2D6
など)
- 未然に防ぎ上手に利用するには?
- くすりを正しく使用する
- 薬の保管
- 副作用が現れた場合の対処法を知っておく
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くすりをもらう時には,くすりに関する情報なども一緒にもらう.
- くすりは,本来,生体にとって毒になる要素を持っている.
- 多すぎても,少なすぎても問題は起こる.
- 副作用や飲みあわせ(相互作用)の問題をできる限り避けて,くすりの効果を十分に引きだす.
- くすりを出す医療従事者の責任
--- 病気,くすりに関する適切な情報を患者に公開する.
- 患者自身の責任 ---
適切なくすりの情報を持ち,それを活用する能力を身に付ける.
- 医者,薬剤師任せにしないことが,医療ミスを最小限に留める上にも重要
- くすりばかりでなく,くすりに関する情報を買うという気持ちが必要
- 患者自身が知っているべきくすりの情報:
- くすりの名前(商品名または一般名)
- 効果(何故,このくすりを飲むのか? このくすりは,どんな症状に効くのか?)
- 服用上の注意(服用する時間,量)
- 主な副作用(副作用の現れ方は,患者により異なる.一般的に医療従事者は,副作用の出る確率でくすりの話をすることが多いので,出現率の低い副作用などは,患者自身が気をつけている必要がある)
- 食物や他のくすりとの飲みあわせ(相互作用)