SPP薬学講座
SPP薬学講座「高校生にからだに常在する微生物を調べることで感染予防に対する知識や技術を身につけてもらう実験講座」(2008/2/20~21)
名城大学薬学講座の報告
本講座は「高校生が大学教育に触れることで、学習の動機づけや幅広い学力の向上を図るとともに自らの適性を見出し、将来の進路意識の明確化や進学目的の形成に繋がること」を趣旨とし、東邦高校(名古屋市)と名城大学が連携したSPP事業のひとつとして平成20年2月20~21日の2日間にわたって実施したものです。東邦高校の2年生21名が名城大学薬学部7号館3階学生実習室で「からだに常在する微生物を調べる」実験をしました。
実験のねらい
ノロウイルス、サルモネラ菌による食中毒、インフルエンザや院内感染を引き起こすメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)といった言葉をは、テレビや新聞などで報道されているので知っているかと思います。食品、病院や製薬に関わる事業所において、手指の微生物による汚染防止の為に医療従事者はもとより食品関連従事者、一般の人々にいたるまで適切な手洗い、消毒方法の会得が重要な感染防止対策になっています。
今回の講座では、微生物の世界を少し覗いた程度の体験になるかと思いますが、手洗い前、普段の手洗い、消毒薬を用いた手洗いの実験を通して、正しい手洗いの方法の習得、常在菌としてどんな菌がいるのだろうか、その形はどんなんだろう、どうやって分類するのだろうかを調べました。常在菌といえども、免疫が低下した場合は感染症を引き起こす可能性があります。このような体験を通して、感染予防に対する知識や技術を身につけていただくことをねらいとしました。
実験項目の内容
- 手指に付着している菌の観察を行う。
- 鼻腔に常在する代表的な細菌を調べるために、普通寒天培地とマンニット食塩寒天培地に、各自滅菌綿棒を用いて鼻腔菌を塗抹し、1日間ふらん器で培養する。
- 培地上に増殖した鼻腔菌についてグラム染色をする。
- 光学顕微鏡を用いて細菌の形態やグラム染色性を観察する。
アンケート結果
受講した高校生の87%が「実験講座は楽しかった」と答え、そのうちの65%が「非常に楽しかった」と答えました。また、受講者の65%が「実験講習会で、学習意欲や問題意識が高まった」と答えました。
実験のようす
実験前の実習講義の様子です。
手指にどのくらい菌が付着しているか、パーム・スタンプで調べました。
各自の鼻腔から採取した検体やパーム・スタンプ培地をふらん器で培養しました。
各班に1名のアシスタント(大学院生)がはりつき、実験のお手伝いをしました。
鼻腔にどんな菌があるのかグラム染色した後、検体を顕微鏡で観察・スケッチしました。
東邦高校の生徒さん、引率の先生方と、本学薬学部の担当教員との集合写真です。