SPP薬学講座
SPP薬学講座「高校生に” 実験・討論をとおして医療の諸問題を考える”を問題解決型学習で実験し、思考力・判断力・表現力を高めてもらう実験講座」(2009年8月18日、19日)
名城大学薬学講座の報告
本講座は「高校生が大学教育に触れることで、学習の動機づけや幅広い学力の向上を図るとともに自らの適性を見出し、将来の進路意識の明確化や進学目的の形成に繋がること」を趣旨とし、三重県立伊勢高校と名城大学が連携したSPP事業のひとつとして平成21年8月17~19日の3日間にわたって実施したものです。伊勢高校生が名城大学薬学部に来ていただき、「くすりにはどんな剤形があり、代表的な剤形の特徴を理解する」と「くすりの条件に必要とされる製剤試験」などについて実験してもらいました。
実験項目の内容
- アスピリンを主薬とした錠剤の打錠 、カプセル剤の充填、顆粒剤の作成
- 上記の製剤についてどのような製剤試験が必要であるかを問題解決型学習で考える
- 自分たちが考えた実験方法や結果についてのグループ発表
実験のねらい
最近の生徒の理科離れの原因に「課題解決」的学習の欠如が上げられます。「課題」を発見し、その「原因」や「解決方法」を「実験」により「実証」するための一連の手法を学ぶことを、今回の主題としました。
大学教員やTAの指導を通して、結果を得ることだけを目的とするのではなく、「原因」や「解決方法」について「仮説」を立て、それを実証するための「手法」を体験しました。
アンケート結果
なぜくすりには、いろいろなかたちがあるのか?よいくすりを作るにはどのような工夫が込められているのかを生徒たちに学んでもらい,くすりに必要とされる製剤試験から実験方法を考えてもらいました。
アンケート調査の結果、「内容が理解できたか」では約半数は「理解できた」と答えましたが、残りの約半数は「どちらともいえない」と答えたことが分かりました。
しかし、参加生徒の全員が「実験が楽しかった」と答え、「化学(薬学)への興味が増した」と答えていました。それらの理由について、「どんなことが楽しかったか」と「全体的な感想」の自由記述(抜粋・原文のまま)から読み取ることができます。
『楽しかったこと』
*色々な器具を使った細かい実験ができてよかったです。また発表をするという機会がほとんどないので、そういうことができてよかった
*薬剤を自分で作って同じものを使って実験ができる点が良かった。今までは準備してあるものを用いて実験していたが全てを自分で行うところまで一歩近づいたような気がして嬉しかった
『感想・コメント』
*まさかグループで考えて発表するとは思っていなかったけど、自分で何かを考えて発表するという貴重な機会を与えてくれて本当によかった。実験はいろいろとできて楽しかったです
*実験内容を考えている時に教授がアドバイスしたことが全く理解できなかったが、実験の段階に入ってその意味が分かり物事を様々な視点で見ることの大切さが分かった。大学生ほど知識がないので苦労したが教授や大学院生が丁寧に教えてくださったことは、とてもありがたかったです。
実験のようす
カプセル剤に顆粒を充填する際の注意点などを担当教員から」受けています。
アスピリンの錠剤を打錠機で打錠する工程についての説明を真剣に聴き入っています。
崩壊試験器に作ったアスピリン錠をセットしてどのように崩壊するのか調べました。
錠剤の溶出試験において錠剤が実際に溶けていく状況を観察しています。
錠剤の硬度をモンサント硬度計で調べました。
伊勢高校の生徒さん、引率の先生と、本学薬学部の担当教員・TAとの集合写真です。