SPP薬学講座
SPP薬学講座「身近な医薬品から科学的に思考する力を育む -アスピリンの合成から構造確認まで-」(2010年9月~10月のべ4日間)
名城大学薬学講座の報告
本講座は「高校生が大学教育に触れることで、学習の動機づけや幅広い学力の向上を図るとともに自らの適性を見出し、将来の進路意識の明確化や進学目的の形成に繋がること」を趣旨とし、東邦高校(名古屋市)と名城大学が連携したSPP事業のひとつとして平成21年6月から9月にわたって実施したものです。東邦高校の2年生29名を対象として名城大学薬学部7号館1階学生実習室や分析センターにおいてアスピリンの合成から構造確認を行い、その過程で生徒の主体的な学習を支援しました。
実験の内容
アスピリンはバファリンなど頭痛薬などに含まれる医薬品である。アスピリンを名城大学で合成し、生成物の構造確認を日本薬局方15改正に収載されている確認試験に基づいて行うとともに質量分析で、実際に構造解析をする。大学で行う一連の専門的な実験を進める過程において生徒の学習動機を高めることを目的のひとつとする。
化学的方法
- アスピリンを煮沸しアセトキシ基をフェノール水酸基に変換し塩化鉄(Ⅲ)試液で赤紫鉄の錯体を形成させる。
- エステルのアルカリ加水分解後、硫酸添加で酢酸臭、とサリチル酸の白沈の観察。
物理的方法
- 各種有機溶媒との溶解性を調べる。
- 色、臭い、味など性状で調べる。
- 融点(136℃)測定で純度を調べる。
機器分析
- 質量分析で分子量を確認するととともに、フラグメントイオンから構造情報を得る。
- 高分解能質量分析でアスピリンの組成式を確認する。
実験のようす
1回目(9月16日):事前学習で実験方法を小グループ学習で考えてもらいました。
2回目(9月17日):アスピリンを合成するための試料の調製。
2回目(9月17日):アスピリンの再結晶化の操作中。
3回目(9月18日):質量分析計で合成したアスピリンの分子量を確認。
4回目(10月2日):最後に学習成果の発表会をしました。
東邦高校の生徒、実験指導のTA・教員などの全体写真。