薬学講座
薬学講座「放射線の科学の基礎を正しく理解するためのリテラシー」(2012年7月~9月のべ3日間)
名城大学薬学講座の報告
東日本大震災からほぼ1年が経つが原発事故の重い後遺症が社会に大きな影を落としている。大震災は、科学や学問に対して、子供たちに深刻な科学不信をもたらしている。
「科学なしでは解けないが、科学だけでは解けない問題が増えた」という見方も生まれている。震災以降の社会には、問題解決型の科学を必要とし、科学の神髄に触れることで考える力を養うことの重要性がますます高まっている。本講座の受講で高校生徒が放射線に関する知識を取得し、原発事故後の社会に正しく向き合っていける理科的素養を涵養し、放射能・放射線に対して認識を深め、放射能・放射線に関わる環境問題や健康被害などに対してよく理解し的確な判断力を培えるようにすることを目標とした。
本講座は、東邦高校(名古屋市)と名城大学が連携し東邦高校の2年生26名を対象として平成24年7月から9月にわたって実施したものです。
実験の内容
日時 | 7月7日(土)9:00~12:40 |
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内容 | 講義 |
場所 | 東邦高校 |
担当者 | 武田・高橋 |
詳細 | 本講座の主旨説明と簡単な導入をしたのち、『宇宙箱舟ワークショップ』を用いたブレイン・ストーミングを行う。これは、普段の生活の中では見えにくい現代の問題をみんなで考える教育プログラムである。ついで、事前学習として、現在の放射線に関するイメージを自由記述形式のアンケートをとる。さらに、 (1)放射線は日常生活を支えている (2)放射能と放射線はどう違うか 2点について基礎講義をする。 |
日時 | 7月14日(土)9:30~16:00 |
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内容 | 講義&実験 |
場所 | 名城大学薬学部 |
担当者 | 武田・高橋・疋田 |
詳細 | (1)放射線の性質について (2)霧箱の原理及び作成方法 の2点について講義解説する。その後、霧箱作成キットにより霧箱を作成し、その霧箱を使って放射線の飛跡を自分の目で見てみる。大型霧箱を使っての自然放射線による飛跡の観察を行う。 観察結果をまとめ、放射線の種類による飛跡の違いについて考察させ発表させる。 また、自然にあるものから出ている放射線の測定及び測定値と距離の関係、測定値と遮蔽物との関係について実習を通して学ぶ。 |
日時 | 9月15日(土)9:00~12:00 |
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内容 | 生徒プレゼンテーション |
場所 | 東邦高校 |
担当者 | 武田・高橋 |
詳細 | この日までに、各班において、今回の講座で得たことをまとめ、プレゼンソフトを用いて発表する。個人ごとの発表をとる。放射線に対する理解、実験で得た知見、フィールドワークでの観察結果、今後の課題などをまとめる。その後、生徒教員からの質疑応答も行なう。 |
実験のようす
事前学習(7月7日)
「宇宙箱舟ワークショップ」を用いたブレイン・ストーミングを行い、グループで話し合う大切さを知ってもらいました。
引き続き、放射線に関する基礎講座をわかりやすく説明し、正しい認識をもってもらえるように努めました。
実験(7月14日)
霧箱をグループごとに作成し、目にみえない放射線の可視化をすることで、放射線の性質を実際に体験してもらいました。
昼食後、昆布や御影石など自然にあるものから出ている放射線を測定し、測定値と距離の関係、測定値と遮蔽物との関係について実験しているところです。
事後学習(9月15日)
最後に学習成果をパワーポイントで発表してもらいました。